京都観光関連サイト(国内向け)を比較してみた
WEBサイトの分析はマーケティングの基本中の基本です。とくに、京都観光に関するサイトはうんざりするほど多いので、競合分析が非常に重要となります。
そこで今回は、関連するサイトを用途別に整理してみたいと思います。最近は、SEO(なるべく検索結果で上位に表示されるようにすること)よりも、SXO(検索した目的が達成されるようにすること)が重要視されるようになってきているので、ここの認識を共有しておくことが大事です。
観光分野における検索目的
Google Keyword Plannerで京都の旅行分野に関する検索ワードを見ながら、ざっと思いついた仮説を書き出してみました。よく、旅前~旅中~旅後の3段階でカスタマージャーニーを整理することが多いですが、メディアの場合はより上流の潜在需要を区別して捉えることが重要なので、旅外という区分を別に設けてみました。
行程 | 目的 |
旅外 |
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旅前 |
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旅中 |
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旅後 |
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これをもとに、「京都 観光」と検索したときに上位にHITするサイトを中心に分類していき、サイトの特徴やユーザー規模を比較してみたいと思います。ユーザー規模の把握は、Values社のemark+という無料サービスを活用しました。
取材重視型がバイラルメディアを駆逐するか?
旅行以外も含めた流行に関する情報を取り扱っているようなWEBサイトも含まれるので、把握するのが難しい反面、影響力が非常に大きく、売り手側も積極的にアプローチしていかなければならなくなってきています。いわゆるバイラルメディアというやつで、以前DeNA社が閉鎖に追い込まれたFind Travelもここに含まれます。
DMO自身が記事を書くかどうかは別として、ネイキッド記事(気づかれない記事)を増やしていくような仕掛けは考えていく必要があります。ともすればステルスマーケティングなんて批判されたりもしますが、気づかれることで嫌われてしまうことも市場原理には組み込まれているので、シンプルに良い記事を提供することだけを考えればいいと思います。(個人的には、ステルスマーケティングじゃなくてステルスプロモーションと呼んだほうがいいんじゃないかといつも思う)
ともあれ、京都関連の人気記事を持っているサイトをいくつかピックアップしてみました。
サイト名 | 概要 |
RETRIP | 言わずと知れた人気サイト。あまり知られていませんが、募集型旅行サイトTrippieceが運営しているメディアです。 |
TABI LABO | こちらも有名なバイラルメディア。一時に比べて元気が無くなったように思う。 |
SPOT | コミュニティ・相談機能重視の旅行メディア。ユーザーインターフェースがややもっさいけど、投稿者の顔が見えて自分の足で取材している感じがするので、RETRIPよりも印象は良い。 |
PLAY LIFE | RETRIP、SPOTの良いところを組み合わせたようなサイト。これからもっと伸びてくると思います。 |
キナリノ | 他のサイトよりも上品な雰囲気のキュレーションメディア。情報量多めでガイドブックに近い提案型のコンテンツもあるけど、取材力はRETRIPとあまり変わらない印象。 |
TABI CHANNEL | 他のサイトができていない地図情報とのリンクができているのは便利。 |
トラベル.jp | ツアーやホテルの検索予約機能もある総合メディア。トリップアドバイザーに近い感じなので、バイラルメディアではないですが、他のサイトと似たような記事も載っているので。 |
めんどくさくなってきたので、あとはこちらを参考にしてください。
「旅行系キュレーションメディア(笑)」が多すぎるのでまとめてリストアップしてみた
で、一応emarks+で主要なサイトのPV数を比較してみました。RETRIP強し。
ただ、各サイトでもっとも見られていると思われる京都記事のユーザー数で比較してみると、RETRIPよりもPLAY LIFEが上位に。(記事単位で比較できるのは、以下の3サイトだけだったので、あくまで参考値ですが)
たぶん、京都観光に関する情報は氾濫しているので、より質の高いコンテンツが求められる段階にまで至っており、取材重視型のPLAY LIFEが伸びてるんではないかと思います。
公式サイトの人気は根強い
旅中向けのサイトもたくさんありますが、主要な5サイトについて集計してみました。やはり京都市公式サイト「京都観光Navi」のユーザー数が最も多くなっています。「京都 観光」検索するとトップに表示され、「オフィシャル」の文字が見えるというところに強みがあります。
ただ、7月だけは民間サイト「KYOTOdesign」にTOPの座を譲っています。これはおそらく、祇園祭関連情報の発信に差があるためではないかと思います。こうした弱点を補強しつつ、バイラルメディアからのリンクをうまく誘導していくことで類似サイトとの差を空け、観光客のニーズにワンストップで対応できるようにすることが、DMOには期待されます。
京都観光の情報は、地元向けサイトのほうが面白い
普通に検索すると、上記で紹介したようなポータルサイトにたどり着いてしまいがちですが、実は地元民向けのサイトもいくつかあって、個人的にはコチラのほうが圧倒的にオススメだったります。
サイト名 | 概要 |
Kyotopi | 要するに、このサイトが最強。ランキング記事なんて読んでる暇があったら、このサイトから行きたいところを探せばいいと思う。 |
Kyotrip | ポータルサイトとしての設計は非常に優れているけど、読ませる記事系のコンテンツは持っていない。料金とかアクセス方法などの基本情報を調べるときに便利。 |
Kyochika | 個人ブログ。京都以外の情報も多いけど、地元民ならではの情報発信は読み応えあり。 |
WebLeaf | 京都人なら知らない人はいない月刊誌「Leaf」の電子版。便利さという意味ではKyotopiに負けるけど、デザインや企画も含めて楽しみたい人にはオススメ。 |
サイトのジャンルが違うので単純に比較できるものではありませんが、ユーザー数を比較すると以下のようになりました。Kyochikaは京都以外の情報も掲載されているので、そもそも読者層が広いことに注意してください。
僕が一押しのKyotopiは去年の後半に成長しています。時期的に、紅葉関連の記事でアクセスを稼いだのでしょうか。一方で、WebLeafがシェアを減らしています。Kyotripのユーザー数は全然伸びていません。消費者のニーズは基本情報ではなく、そのスポットの魅力を解説した記事だということがよくわかります。
口コミサイトは4Travel
口コミサイトといえばまっさきにトリップアドバイザーが思いつきますが、グローバル対応になっているためなのか英語表記が混ざっていたりして若干ストレスを感じる人はいると思います。これに対して、「じゃらんnet」や「4Travel」は比較的日本人向けのインタフェースになっています。
それぞれ京都の観光地のランキングページを比較してみると、以下のような結果になりました(トリップアドバイザーは、京都のページに絞って集計できなかったので割愛)。4Travelのほうが人気はあるようですが、ここ最近はボリュームが減ってきているようです。もしかすると、ネット上の情報量が増えてきて要約された情報が好まれるようになってきたことで、口コミサイトよりもバイラルメディアへ需要がシフトしてきているのかもしれません。
ただ今後、機械学習技術が発達することで口コミを簡単に要約できるようになってくると、口コミサイトの価値が見直されていく可能性もあると思います。口コミ解析については、近いうちに簡単な実例記事でも書いてみようと思いますので、乞うご期待。
まとめ
- 京都観光について調べるならKyotopiが便利
- DMOはこれらのサイトを活用した情報発信に取り組むべき
(自前で素晴らしいサイト作らなくてもよい) - 口コミ情報の要約技術に注目