オーバー・ツーリズムと価格弾力性
みなさんこんにちは,らいみんです。これまでダラダラとした文章を書くことが多く,読むの大変だったと思うので,今回は(できれば次回以降も)こういう感じでお届けしたいと思います。
えらい唐突ですね(笑)
ん?君は誰ですか?
いやいや,自分で登場させておいて「誰ですか?」やあらへんがな!
ごめんごめん,一通り表情のアイコンを試したくって冗談言ってみただけです笑
しゃーないなー,こんな素人が作った脚本見せられたら,タイトルにつられてブログ読みに来た人,「戻るボタン」連打やで,絶対。
あ,みなさん,ウチは大学で観光の勉強してて,らいみんさんのところでバイトしている京子って言います。一応京都人っていう設定です。よろしく♫
はい,では前置きはこのくらいにしておいて,今日の本題に入りましょう!
オーバー・ツーリズムとは?
京子さん,オーバー・ツーリズムって聞いたことありますか?
ツーリズムをオーバーするんやから,旅行しすぎる的な感じの意味ですか?
そうそう,そういう感じ。観光の世界でいま一番ホットなキーワードが,この「オーバー・ツーリズム」で,いわゆる「観光客来すぎ」問題のことです。
それって,京都も似たような状況ですね。
そうですね。京都市では,オーバー・ツーリズム対策の一環として,今年から宿泊税の施行が予定されており,民泊への規制条例も厳しく制定されることから,その対応に世界から注目が集まっています。
具体的には,どのへんが注目ポイントなんですか?
一言でいうと,オーバー・ツーリズム(とりわけ民泊問題)の世界初の成功事例になるかもしれないってところだね。
へぇー,なんか意外。民泊って,欧米とかのほうが進んでて,対策も進んでるんとちゃうんですか?
いやいや,だからこそなんだよ。日本よりも民泊の普及が早かったパリなどの欧米の観光都市は,民泊に対する規制が間に合わなかったから,民泊の広まりに歯止めをかけられずに,観光地のブランドを損なってしまうような問題がたくさん起こってるみたいなんだ。
たしかに,テロの温床になっていた,みたいなニュース見たような気がします。
うん,そしてパリ以外でも似たようなことが置きているんだ。
次のグラフを見てごらん。世界の有名な観光地の客室平均価格の前年比を表してるんだけど,外国では2015年から2016年にかけてマイナス成長が続いてることがわかるね。でも,京都は上がり続けているってことから,諸外国ほどの問題にはなってないんだね。
出所)京都市観光協会 ホテル統計におけるSTR社レポートをもとに作成
なるほど,調子のいいあいだにうまく対策せなあかんってことですね!
ちなみに,京都市の統計上の延宿泊客数は約2,150万人泊だけど,これとは別に市内の民泊が約131万人泊と推計されます。
この131万人泊という数字は,市内の営業件数が約6,000軒(出典:AirLABO 1/13時点),稼働率は約30%(出典:AirbDatabank 1/13時点),一件あたりの平均宿泊人数を2名,365日営業すると仮定して算出しました。
この記事を書いている途中に,Airbnbが京都市内の民泊利用数を公表する記事が出ていました。記事によると,2017年は約200万人泊の利用があったようで,想像以上に民泊の規模は大きくなっていることがわかります。
そうすると,民泊が占める割合は,131 ÷(2,150+131)≒ 6パーセントですね。これって多いんですか?
京都市に来る修学旅行生が年間約100万人泊だから,それよりも多いってことにはなるね。
あと,下記の調査によると,パリでは民泊が10%を占めてるみたいです。パリ以外の地方部では36%まで達していて,フランス全体では16%ってことだから,京都はまだマシってことになるね。
逆に言うと,京都もパリと同じくらいになる可能性はあるってことですね。
うん。そして,もちろん民泊だけでなく,混雑や渋滞など様々な問題が,オーバー・ツーリズムによって引き起こされるんだ。
オーバー・ツーリズムへの対応
この問題を解決するためには,入込規制をかけるか,価格を上げて需要を抑えるかのどちらかしかありません。そこでさっき言ったとおり,宿泊税というカタチで観光客に対する価格を上げるわけですが,これをどれくらい上げれば良いのかが非常に興味深い問題だと思っています。
あんまり高くしすぎると,お客さん逃げちゃいますからね。
観光客の供給力(観光客が住んでいる地域の人口や経済水準,航空路線の座席数など)が一定であれば,さきほどの客室単価の変動をもとに,どのくらい価格変動に対して観光客の需要が変動するか計算できますが,実際にはそうでないので需要関数と供給関数の方程式を解かなければならなくなります。
いや,いきなり専門用語多くて,ちょっと何言ってるか分からんのですけど。
あー,えーっと,客室単価があがれば本来は宿泊客数は減少するはずでしょ?
そうですね。でも,京都では逆に増えてます。
そう,だから,価格が変わらなかった場合にどれくらい増えてたのかを見込まないと,価格の影響力を評価できないんだ。この価格の影響力のことを,経済学では,「需要の価格弾力性」って言います。
まぁ,なんとなくわかりましたけど,だったらとりあえず観光客が増えなくなるまで,宿泊税増やせばいいんじゃないんですか?
まぁ,そういう思い切った政策もあり得るとは思うよ。でも大前提として,いまの宿泊単価が京都にとってふさわしい水準であるかどうかは別問題だからね。
次のグラフのとおり,京都の客室単価は世界の有名観光都市と比べるとまだまだ低いんです。世界との競争に勝ち残るためには,価格を上げながら需要も増やし,オーバー・ツーリズムにも対応していくという,極めて複雑な課題をクリアしないといけないんだ。
出所)京都市観光協会 ホテル統計におけるSTR社レポートをもとに作成
どっちかを取ったら,どっちかがうまくいかんくなるようなこと,解決できるんですか?
結局は,ひとつひとつのサービスのクオリティを上げていって,高くても行きたいって思ってもらえるようにすることに尽きると思うよ。価格の下限は0円だけど上限は無いから,超高級なサービスが増えれば平均価格は上がっていくことになるからね。
もちろん,民泊の全てがオーバー・ツーリズムを助長しているわけではないけど,民泊利用者は価格に敏感なはずだから,あんまり増えすぎると,価格を上げようと思ってもすぐに需要が減ってしまうようなマーケットになってしまって,京都観光の持続的な成長を阻害してしまうんじゃないかと思います。
まぁ,ホテルと比べて撤退しやすい業態だから,客室単価の相場が上がるにつれて,民泊も自然淘汰されて適正な規模に落ち着くのかもしれないけれども。
いずれにしても,行政やDMOとしては,データ分析をしてなるべくロスの少ない課税水準を設けて,得られた税収でオーバー・ツーリズムの問題を解消する施策を打っていくってことが重要です。
なるほどー,がんばらないとですね!
お,お手柔らかに。。