宿泊税の使いみち

これもNewsPicksからの転載です.最近話題の京都市における宿泊税について.

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ざっと年間20億,肝心なのは何に使うか.

トイレ設置とか電線地中化とか目に見えるハード整備は分かりやすいけど,そういう結果が想定しやすくて予算要求しやすい事業は既存の財源を充てればいいんじゃないかと思います.ハード整備したところで,混雑が解消したり,市民生活が激的に改善するとも思えませんし,むしろその整備したエリアへ需要がより一層集中するだけな気がします.

なので,新しい財源は成果が出るかどうか想定がしづらく手を出せてこなかったソフト事業に充てて欲しいです.魅力を開発・発信して付加価値を高めたり,需要を平準化するための誘導を行ったりすることで,少ない客数でも地域を維持できるように工夫することが,一番重要な取組だと思います.

あと,100円固定なのはたしかに気になりますが,末端の簡易宿所まで売上把握するためにかかる徴税コストの問題とか,高級宿泊施設に対する配慮とか,色々理由があるんじゃないかと思います.100円程度に影響を受けるような価格弾力性の高い旅行者よりも,そんなの気にしない富裕層に来て欲しい,というふうに考えられなくもないです.(税制の逆進性をうまく利用している)

もっと税額を増やして需要を抑制すれば混雑が解消するという人が多いようですが,いたずらに課税しても競争原理を阻害するだけなので,僕はあまり賛成できません.あくまでも,事業者の判断によって客室単価や入場料などが上がることで需要が調整されるようにするべきで,そのための判断材料を提供したり,付加価値を上げるための支援に必要な分だけ徴税できれば十分です.

それがどの程度なのかという議論が先にあるべきで,税だけで市場をコントロールしようという発想は,観光地の魅力の源泉を枯らすことに繋がります.