国籍別の国内宿泊先月次ランキング(ホテル統計を強化しました)

京都市観光協会では,毎月ホテル統計を発表しているのをご存知でしょうか?

この手の統計は,観光庁が公表している「宿泊旅行統計」が有名ですが,「宿泊旅行統計」は都道府県単位までの細かさでしか地域別の集計ができないという制約があります.京都市観光協会のホテル統計では,独自に市内のホテルに調査を依頼することで,市単位での宿泊客数の推計を行っています.自治体単位でこれをやってるのは,京都だけです多分.

2017年6月および上半期分の結果が先日リリースされたのですが,今回からちょっぴりバージョンアップしています.

広報発表「平成29年(2017年)6月及び上半期の外国人客宿泊状況調査について」
https://www.kyokanko.or.jp/kaiin/image/pdf/info170802.pdf

該当部分はP10,11で,経済産業省「観光予報プラットフォーム」のデータを用いて,国籍・地域別の旅行先の分布や,予約時期の分布を集計しています.手が回っていなくてまだPDFでしか出せていませんが,そのうちホームページ改修して使いやすいインターフェースで提供できるようにしたいと思っているので,ご期待ください.

「観光予報プラットフォーム」は,誰でも頑張れば集計できるオープンデータなので,こっそりGoogle Drive経由で埋め込んだデータを置いておきますね.上記の資料は6月分のデータしか掲載していませんが,こちらは上半期分のデータも含めています.

 

データを見る場合の注意点として,東京都特別区は23区別の集計となっているので,合算すれば1位になるはずのところ,下位にランキングされてしまっています.

また,宿泊客数の絶対規模は,国の宿泊旅行統計と必ずしも一致していません.推計に用いているデータや,拡大処理の考え方が異なるためだと思われますが,観光予報プラットフォームの推計方法はブラックボックスになっているので,とりあえずそのままの数値を掲載しています.宿泊先の順位の変動など,相対的な傾向を評価には使えます.

中国

  • 大阪,京都の2強.
  • 1~2月の春節シーズンの需要が強い.
  • 冬場は北海道も強い.
  • 那覇も以外と冬場のほうが多い.
  • 京都が相対的に存在感を増すのは3~4月.

台湾

  • 中国と比べると季節感格差が小さく,春節よりも桜シーズンのほうが多い.
  • 京都市台東区にすら負けており,東京への需要が強いことが分かる.浦安市も上位であることから,ディズニーランドの人気が高いことも影響していると考えられる.国内旅行に近い感覚で旅行されていると言っても良さそう.
  • 夏場になると沖縄の人気も高くなる.地理的に近いことも影響しているだろう.

香港

  • 中華圏であるが,欧米型の需要パターンに近い.
  • 京都市はベスト5にすら入らないこともあり,他の国に比べると人気がない.
  • 台湾同様,夏場は沖縄が人気.
  • 那覇はなぜか春に多くなる.トランジットで宿泊か?

韓国

  • 昨年低調だった韓国は,今年に入って持ち直してきているため(為替の影響?対中関係悪化による需要シフト?),季節変動の評価には注意が必要.
  • 地理的に,九州・沖縄の需要が強い.
  • おそらく,京都は秋頃に存在感が強くなる.
  • このデータは,韓国客に多い日帰り客が含まれていないので注意.

アメリカ

  • 4月前後(イースター✕桜)に需要が集中.
  • 伝統文化に対するニーズの強い米国市場は,京都へのロイヤリティが圧倒的.
  • 冬場は,訪日市場規模そのものを拡大する努力が必要だが,東京へのビジネス需要は安定してるように見えるので,京都にも寄ってもらえるような仕掛けは有効となる可能性がある.

英仏独西

  • アメリカと似ているが,北海道や浦安市がランク外となっており,廿日市(広島)が上位にいる点が特徴的.

オーストラリア

  • スキー需要があるので,欧米と比べると,冬場の需要の落ち込みが少ない.
  • 東京,大阪の需要が強いのも,特徴的.(都市的な観光を好む?あるいは,ジェットスターの深夜便のために,空港に近いところで宿泊している?)

こんなところですかね。めっちゃ活用してるので,経産省は頑張って予算継続して欲しいです。今後もデータ更新していきますので乞うご期待!