【HTML不要】DMOみたいな中小企業でもポータルサイトを持てる方法【基本無料】

DMOはだいたい地域の観光協会が担うことが多く、そのほとんどは従業員数10名程度の中小零細団体です。そういった組織ではIT関係に明るい職員を雇う余裕はなく、地元のイケてないリース・メンテナンス会社の言いなりになって、いまどき中高生でもできるようなことに対して安くないお金を払っています。

しかし、DMOはデータに基づいた経営を標榜しなければならないことになっているので、なんでもかんでも紙に印刷してハンコで決裁とるような仕事の仕方からは脱却しなければなりません。

最近は、サイボウズ社とかが安く(年間1人あたり1万円くらい)でグループウェアを提供しているので、それを導入するのが無難ではあります。あいにく、その費用も捻出できないなら、なんとか無償サービスを駆使して必要な機能を満たすしかありません。今回は、その方法について書いていきたいと思います。

Google Suite

Googleが提供している統合サービスに、Google Suite(旧Google Apps for Work)というのがあります。といっても、その内容は、Gmail, Googleカレンダー, Google Drive, ハングアウトなど、誰でもプライベートで使ったことがあるようなツールをまとめたものです。

決定的な違いは、ビジネスでも利用できるようにセキュリティが保障されていたり、会社専用のドメインでメールアドレスが取得できたりするところにあります。

https://gsuite.google.co.jp/

14日間は無料ですが、そのあとは一人毎月500円です。それでもサイボウズよりは安い。ただし、機能に少し違いがあるので注意です。

比較項目 Google Suite サイボウズ ガルーン
価格 500円 845円
メール
スケジューラ
会議室予約  
モバイル対応
ポータル・掲示板
決裁処理 +315円で拡張可能
保存容量 30GB/アカウント 4GB
ファイル同時編集  
在席確認  
出退勤打刻 +100円で拡張可能
日本語電話サポート 24時間年中無休 月~金
9:00~12:00
13:00~17:30

ということで、Googleのほうがカスタマイズ性が高く、サイボウズはフルサービスって感じです。ただ、保存容量が約10倍くらい異なるので、画像や動画ファイルを大量に取り扱うような場合には、Googleに優位性があります。また、ワードやエクセルファイルをGoogle Drive上で同時編集できる神機能は、本当に便利です。(知らない方は、以下の動画をご覧ください)

なお、Google Suiteでは会議室予約と在席確認ができません。ただ、あえて表に✕をいれなかったのには理由があります。

まず、会議室予約は、スケジューラをうまく使えばできないことはありません。会議室専用のカレンダーグループを作っておき、会議室を使う際のスケジュール登録に利用すればよいのです。そもそもオフィス内に会議室を持っているDMOがどれくらい存在するのか怪しいですが笑

在席確認についても、スケジューラである程度判断すればよいと思いますが、どうしても必要なのであれば、別の無料サービスを使えば済むことです。irucaはリモートワーク(テレワーク)を導入している企業などに簡単に在席・離席のステータスを管理できる仕組みを提供します。

https://iruca.co/

ということで、Google Suiteでもだいたいの機能はカバーできていることはお分かりいただけたと思います(肝心のポータル・掲示板機能については後述します)。

Google for Nonprofits の活用

さて、この記事のタイトルにさりげなく【基本無料】と書いてます。でも、Google Suiteは安いとは言え有償版のサービスです。なぜ、無料と書いたのか。それは、利用者によっては無料で利用できるチャンスがあるからです。

Googleでは、社会貢献の一環として非営利組織に対して自社の製品を提供するGoogle for Nonprofitsという活動を行っています。DMOの法人格は、公益社団法人や公益財団法人であることが多いので、非営利組織として認定される可能性が高いです(ただし、公益法人は収益事業も行うことができるので、非営利とは限りません)。

この仕組みを使うことで、Google Suiteを1年間無償で利用することができます。それ以外にも、Adwordsによるリスティング広告(検索したときに強制的に上位に結果を表示させる広告機能)が年間10,000ドル分無償で利用できたりもします。

Google以外にも、非営利団体向けのサービスを行っている企業はたくさんあります。ご関心ある方は、以下から探してみてください。

https://www.techsoupjapan.org/

もちろん、セキュリティに関してそこまで厳しくない、という組織であれば、無料版で押し通すということも可能ではあります。

ポータルサイトの作り方

では、いよいよポータルサイトの作り方です。まず、Google Siteという簡単にWEBサイトを作れるアプリを利用します(Suiteと似ててややこしい笑)。

https://sites.google.com/

画面左側の作成ボタンを押すと、「以前のGoogle サイトを利用」と「新しいGoogleサイトを利用」と聞かれるので、「以前のGoogle サイトを利用」を選んでください。新しいほうは、直感的な操作性が重視されていますが、そのかわり使える機能が絞られてしまっているので、現時点では使い勝手が悪いです。

つぎに、テンプレートを選ぶ画面が表示されるので、「ギャラリーでさらに検索する」を選択し、検索ボックスに「ポータル」と打ち込んでみてください。僕が作成したテンプレートが出てきます。

f:id:horiet0322:20170625213351p:plain

あとは、サイトの名前をつけて作成ボタンを押すだけです。そうすると、こんな感じの画面になります。一部のウィジェットは、Googleのアカウントでログインしないと見れるようにならないはずなので、画面表示にしたがって処理していってください。

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あとは、自分好みにカスタマイズしていくだけです。画面右上の鉛筆ボタンを押すと、画面中央のウィジェットが編集できるようになります。冒頭の説明文を書き換えたり、レイアウトを入れ替えたり、埋め込みたいタグを変えたり、カレンダーの設定をいじったり、いろいろ試してみてください。(解説が必要なら、この記事のコメント欄に連絡ください)

ちなみに、掲示板はGoogleグループというアプリで社員のアドレスをグルーピングし、作成したグループのURLを埋め込んでやれば良いだけです。詳しくは、以下のサイトをご参照ください。

http://blog.free-style-solution.com/oyakudachi/google-sites-bbs

 

あと、画面左側のサイドバーや、画面上のナビゲーションタブをいじりたい場合は、画面右上の歯車ボタンを押し、「サイトのレイアウトを編集」を選択してください。ここから先も、いろいろ試してみれば分かるので、細かく解説はしません。(そのためにテンプレートを作りました)

だいたいこれだけの機能があれば、無料とは思えないポータルサイトを構築することができます。あとは、毎朝とりあえず開くサイトということで、職員のみなさんに利用してもらえるように促すだけです。何百万何千万という投資をしなくても、ITシロウトでも、これくらいのことができるようになったんだから、本当に世の中便利になったと思います。

まだ、僕もこのサイトを運用する段階にまでは至っていませんが、来年はなんとか定着させたいと思っています。これを読んだ全国のDMO、非営利法人の関係者にもうまく活用していただけたら嬉しいです。