旅で幸せを感じられる人は、何が違うのか
ブッキングドットコム社が、旅行の前後における幸福度についての大規模調査結果を発表しました。
- 平均的に最も幸せを感じるタイミングは「旅行初日」
他の選択肢に比べて広い概念なので、必然的に回答率が上がっているような気がするので、「目的地に着いた瞬間」が一番だと考えるのがよいでしょう。当然といえば当然。 - 旅行の準備中や移動中よりも、予約している時(計画段階)のほうが幸福度が高い
これも、予約サイトの存在意義を主張するための理屈で、別に新たな示唆があるわけではないですね。
調査結果から考えるべきこと
- 「旅行先としての評価」と「個別の幸福度」との関係
いくら実態を正確に把握できる調査をしたところで、この先何に手を付ければ旅行先としての評価が改善するのかが分からなければ、それはただの自己満足調査でしかありません。幸福度の低い部分を底上げすれば良いのか?
幸福度の高い部分を充実させれば良いのか?
全体的にレベルアップを図らなければならないのか?幸福度(満足度)が変化する要因は、「あると嬉しいこと」と「無いと困ること」に分けて考えるのがセオリーです(ハーズバーグの二要因理論)。どちらが大事とは一概に言い切れませんが、既に旅行先全体としての幸福度が高い場合は「あると嬉しいこと」を増やしていくほうが効果的でしょう。逆に、幸福度が低い場合は「無いと困ること」が満たされていない可能性が高いので、さきに対策を講じるべきでしょう。たとえば、下表のような感じで分類してみて、観光地としての実力と顧客のニーズを照らし合わせながら、優先順位を決めていくことになります。
想定内 想定外 ポジティブ 旅行先の情報が豊富
SNSなどで話題になっている
価格帯などの選択肢が多い
ご飯がおいしい
年中無休
無料サービスが多い人気の宿がたまたま空いてる
割安価格で予約できる
写真よりもキレイ
新たな出会い
ガイドの能力が高い
期間限定のイベント
確率の低い自然現象に遭遇ネガティブ 価格が高い
WiFiが使えない
言葉が通じない
トイレが無い
ゴミを捨てる場所が無い
交通手段が不便
チェックイン時間が不便営業時間外・休業日だった
予約が取れていない
混雑がひどい
仲間とはぐれる
雨が降ると退屈
盗難・紛失にあう
警察沙汰に巻き込まれる基本的には、ミーハーな客も含めて大勢呼び込むためには弱点の底上げ、多少の不便は気にせず乗り越えてくるコアな客を確保するためには長所を伸ばすということになります。なぜなら、一度ファンになった人は自分の選択が間違っているという情報を受け入れたがらず(認知的不協和理論という)、多少の欠点は無視してくれるからです。
- 事前にしっかり調べる人ほど幸せな旅ができる
さきほどのグラフからだけでは読み取れませんが、元記事によると、「予約手続きを楽しむことと、実際の旅行でハッピーでいられることには、大きな相関関係がある」と書かれています。逆にいうと、準備段階から入念に計画をたてることができる人ほど、旅行自体をしっかりと楽しむことができる、ということですね。しっかり調べるということは、旅行で損をしたくないという気持ちの現れでもありますね(認知的不協和理論)。さきほどの話と合わせると、自分にとってどこまでが想定内で、どこからが想定外かの基準を持っておくことが大事なのかもしれません。
旅行計画が重視されるようになるためには
旅行者が計画に割くことができる時間的な余裕や、成功体験があるかどうかはもちろんですが、観光地側としてはちゃんと調べてきてくれるファンを優遇するような取組が必要になってくるでしょう。そして、そのファンのノウハウが他の旅行者にも共有されていくような仕組みがあれば、いい循環が生まれてくるんじゃないかと思います。
すでに、Tripadvisorや4Travelみたいな口コミサイトがその役割を担っている面はありますが、全てのニーズを満たせるほど万能なプラットフォームになっているとはいえないとも思います。
そこで、DMOとしてやってみると面白そうなのが、旅行プランニングコンテストです。アイディア自体は古典的かもしれませんが、テーマを尖らせたり、おしゃれな広報をして若者の注目を集めてみたり、採点基準にゲーム性を持たせてみたり、DMOならでは取組として改めてチャレンジしてみると面白いんじゃないかと思います。なんなら、旅行会社の造成担当者間で競ってもらうようなイベントにしてみても面白いかもしれないですね。
去年は転職をして事業環境や生活環境を準備することに力を割いたので、今年は成果が残る年にしたいと思います。