1億総ガイド社会の将来(旅行業法改正の中間とりまとめ)
観光庁で進められていた旅行業法改革の中間取りまとめが発表されました。
トラベルボイス「観光庁、新たな旅行業法制で中間まとめ、ランドオペレーター新規制や着地型旅行の販売をホテルでも」
記事のタイトルにあるとおりですが、先日図に書いて説明したランドオペレータの話や、業界の構造変化に沿った結果になっています。
ランドオペレータの規制
旅行会社によってランドオペレータが買収され、業界の垂直統合が起こっているわけですが、どうしても統合するのが難しい相手がいます。それは、外国のランドオペレータです。
外国の旅行会社にとっては自国のランドオペレータのほうが扱いやすいものの、そのランドオペレータが日本の旅行にどこまで精通しているかは怪しく、価格を下げるために粗悪な宿泊施設や観光バスを手配したりしてしまうことで、旅行客の満足度が著しく損なわれることがあります。
「安くで日本で遊べる!」と思って来てみたら、散々な目にあってしまうなんてもこともあるみたいです。こんなかたちでリピーターになる可能性が失われてしまったり、噂を聞いて訪日を諦めてしまったりするような人が増えてしまうのは、非常にもったいないことです。こんなことになるくらいなら、何年か後にお金が貯まってからじゃないと行けない憧れの旅行先のままでいいんです。
そこで今回のとりまとめでは、ランドオペレータの登録制の導入することが決められました。ガイドラインをしっかりと示すこと、これこそ行政の役割だと思います。一方で、国内のランドオペレータも、外国の旅行会社から仕事を貰えるように、進化していかなくてはならないということでもあります。
ホテルで旅行商品の販売
これは、星野リゾートの星野社長がずっと主張していたことです。オフィシャルの会議で何度か話を聞いたことがありますが、かならず「ホテルでも旅行商品を販売できるようにするべき」という主張をされていました。そこへの道筋がようやくついたことになります。
旅行商品の販売は、旅行業法の免許を持っている発地側の旅行会社に有利な制度となっていましたが、これで着地側からも参入できるようにハードルが下がることになります。
極端なはなし、ホテルのコンシェルジュがデイツアーを企画するようなこともできるようになるでしょう。これからはお気に入りのホテルに宿泊して、ホテルで旅行プランを購入するようなスタイルも当たり前になってくるでしょう。
まさに、発地側から着地側へバランスが移っているということが、この動きに象徴されていると思います。
1億総ガイド社会の到来か
こうしてガイドラインが整備され、旅行者が選択できる業者が増えると、おそらく旅行会社(新たに参入可能となったホテル等も含む)のプランを比較したり、旅行会社の能力そのものを格付けするようなプラットフォームができるでしょう。
最近は、旅行ガイドのマッチングサイトなんかもできているので(法律的にグレーですが)、観光に携わるあらゆる人が、より良い旅行体験を提案できる競争システムができるわけです。
いまのうちに、住んでる地域のことを勉強して、ネットで調べてもわからないようなことを紹介できるようになっておくのがいいかもしれませんねー