旅行計画で参考にされているサイトとは?

先日、JTB総研が「スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査(2016)」をプレスリリースされてました。

スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査(2016)
http://www.tourism.jp/tourism-database/survey/2016/11/smartphone-2016/

結局、なにがどのタイミングでトリガーになってるかどうかまでは分からない内容なので、あまり議論する余地がないんですが、ひとつだけ。

旅行にあたって参考にしたサイトということで下図のような結果が示されてました。高齢女性が、団体旅行のサイトを利用しているところに特徴があるのは、まぁその通りだなぁと思うにしても、実際にはもっと色んなサイトを利用してるような気がするので、違和感。

おそらく、「参考にした」の定義が曖昧なのがよくない。回答結果から判断するに、おそらく回答者は「旅行前に利用した」くらいの認識で回答してるように思います。

 

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アクセス解析結果との比較

そもそも、WEBサイトの利用状況は無料のアクセス解析サービスで把握することができるので、検証してみたいと思います。

国内ユーザーの解析はヴァリューズ社のeMark+、海外ユーザーの解析はSimilarwebが有名ですが、今回はeMark+のほうを使って旅行関連サイトのランキングを確認してみました。

アクセス解析にご関心あるかたはコチラからどうぞ↓↓↓
https://asp.emarkplus.jp/emarkplusfree/index.html

黄色の棒グラフがeMark+で確認したユーザ数(2016年10月)ですが、JTB総研の調査結果(2016年9月)と必ずしも一致しないことがわかります。なお、調査方法や時点が異なりますし、JTB総研のほうはスマホ利用に関する調査なので、単純に比較できるものでないことにはご留意ください。

 

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注)エクスペディアとトリップアドバイザーは、JTB総研の調査のうち「旅行にあたって参考にしたサイト(海外旅行)」の方の数値を採用。

注)JRのサイトは、eMark+のランキング中のJR各社や関連サイトの合計値を集計。

TripAdvisor (トリップアドバイザー)

 

わかったこと

  1. 交通機関のサイトは、旅行の内容を参考にするためではなく、単純な予約や運賃検索などのためにも利用されているので、実際のユーザ数は多い(黄棒グラフが相対的に大きい)。つまり、参考にするためではなく、必要に迫られて利用している。
  2. 同じ考え方を用いると、「じゃらん」や「JTBるるぶ)」と比べると、「楽天トラベル」も機械的な利用パターンが多い可能性。あまり吟味しないユーザが、楽天トラベルを利用しているのか?
  3. やはり気になるのは図中右端のFind TravelやRETRIPなどのキュレーションメディア。旅行動機の引き金になったり、旅行先のイメージを形成しているのは、予約サイトではなくこれらのサイトであり、無視できない規模になっていることがわかります。
    余談ですが、僕はRETRIPは非科学的なランキング記事が多く、コンテンツとしてのクオリティは低いので、あまりオススメしません。

定量調査よりも、旅行プランコンテスト

サイトやアプリの利用率は、既存のサービスを使えば把握できるので、JTB総研のような定量調査の価値は無くなりつつあります。少ないサンプルでもいいので、旅行に至るまでに利用した情報源をトレースするような調査(エスノグラフィに近い)をしないと、いわゆるカスタマージャーニーを描くことができません。

そこで提案したいのは、旅行プランコンテストを開催して、どうやって情報収集してプランを考えたかも含めて企画を応募してもらうということです。優秀なプランを公表すれば、他の情報弱者が旅行情報の調べ方を知るきっかけにもなり、旅行者のスキルの底上げにつながります。調査費用も抑えることができます。これがうまくいけば、安易に人気スポットを訪れる人が減り、繁忙期の混雑緩和に繋がるかもしれません。

これぞまさに価値共創マーケティング。旅行者が参加することで、旅行先の価値を向上に寄与でき、それが強力なロイヤリティを生み出す、ってやつです。そうすることで、地域はメディアに対する交渉力を取り戻すこともできます(冒頭のような実態把握だけだと、後手に回ってしまい、メディアや広告会社の言いなりになってしまう)。