旅行先ランキングの意味
2017年注目の旅行先
National Geographic Travelerによる2017年注目の旅行先が発表されてました。なにを基準に順位をつけるかは難しく、記事を読む側はその基準をよく確かめる必要があります。本当の意味で、その旅行先の実力を表しているランキングとは、どのようなものなのか考えてみたいと思います。
まずはナショジオのランキングを見てみましょう。
1.モスクワ(ロシア)
2.ソウル(韓国)
3.カルタヘナ(コロンビア)
4.マドリード(スペイン)
5.ハンブルク(ドイツ)
日本はランク外ですね。
ちなみに、京都は米国の旅行雑誌「Travel + Leisure」で上位にランクインし続けていています。National Geographicは記者による来年のオススメである一方で、Travel + Leisureは過去1年間の読者投票方式なので単純な比較はできませんが、見る人はそんなことまで気にせず眺めている人がほとんどでしょうから、なんだかなーという感じです。
ランクインしている旅行先は、「訪れるべき場所」というよりも、「メディアが取材しやすい旅行先」といったほうが、本質を捉えているように思います。まぁ、取材しやすいってことすなわち、見所がたくさんあるわけでもあるのですが、選ばれるまでには様々な駆け引きがあるんだろうと推測します。
そんなことを考えていると、結局なにを信じればいいのか分からなくなるので、InstagramとかTwitterといった加工されていない情報を参考にする人が増え始めているわけですが、ノイズを処理するのが大変なので、なかなか旅行先のランキングを集計するのは難しいようです。
旅行者数実績のランキング
あくまでも客観的指標で評価する場合は、ユーロモニターのランキング(2014年)を見るのがよいでしょう。
1.香港(中国本土からの入国を含む)2,777万人
2.ロンドン 1,738万人
3.シンガポール 1,709万人
4.バンコク 1,625万人
5.パリ 1,498万人
ちなみに東京は25位 599万人で、ソウル(13位)や台北(15位)を下回ってます。
前年度比28.8%の成長は良いことですが、インドや東南アジアの国々はもっと成長しているので、日本が自力で集客できているとは言えないように思います。
なお、乗り継ぎや、航空機の乗務員、軍人、留学生は除いて集計しているようなので、集計上の定義には問題無さそうです。
ただし、日本の場合は東京以外にも観光地が点在しているので、総合力で比較することも忘れてはいけません。また、人口の多い国の近くや、ヨーロッパのように狭い範囲に多くの国が密集していると、外客数のカウントは有利になってしまうので、条件を揃えて比較してやる必要もあります。本当の意味で、その街が旅行先として選ばれているのかをきちんと評価したデータは、僕が知る限りはありません。
口コミランキング
TwitterやInstagramとまではいきませんが、個人の声が反映されたランキングとして、やはりTripadvisorははずせないでしょう。
TripAdvisor (トリップアドバイザー)
https://www.tripadvisor.com/TravelersChoice-Destinations-cTop-g1
1.ロンドン(イギリス)
2.イスタンブール(トルコ)
3.マラケシュ(モロッコ)
4.パリ(フランス)
5.シェムリアップ(カンボジア)
日本の都市では、東京が21位で最高位。
なお、アジアのランキングは以下のとおり。
1.シェムリアップ(カンボジア)
2.ハノイ(ベトナム)
3.ウブド(インドネシア)
4.バンコク(タイ)
5.香港(中国)
6.東京(日本)
京都は19位でした。
まだまだブランド力が足りないのか、お金のかかる旅行先だと思われているのかもしれません。リゾートに行く人と、文化体験を目的にしている人でマーケットが異なるので、これも単純に比較できるものではないのですが、まだまだ上を目指さないといけないことは確かだということはいえそうです。
しかも、旅行消費単価を上げながらランキングも上げていくのは至難の業です。おそらくそれができているのは、プラハやローマあたりなんだと思います。ということで、みなさん、ランキングに踊らされないように気をつけましょー