東京都民の国内旅行先を月別に調べてみた

旅行者数の分析はどうしても自分たちの町にばかり注目してしまいがちですが、当然旅行者は他の地域にも旅行しているので、市場シェアをどのくらい取れているのかを把握することが重要です。

これまでの統計では都道府県単位でしか把握することができなかったので、ちゃんとした分析はされてきませんでしたが、観光予報プラットフォーム(https://kankouyohou.com/)が整備されたことで、市区町村単位で分析することができるようになりました。

とはいえ、観光予報プラットフォームはデータをエクセルで出力する機能がなく、APIも配信していないという舐めた仕様なので、ちゃんと活用しきれていないように思います。そこで今回は、試しに東京都民が2016年のあいだに宿泊した場所について、月別にデータを抽出して集計してみました。

結果は以下のとおりです(太字は各月のBEST5)。

f:id:horiet0322:20170625214452p:plain

 

元データ、ご自由にご利用ください
観光予報プラットフォーム_国内旅行先_東京都.xlsx

需要のピークは8月

東京都民は年間で延べ6,632万人が宿泊旅行をしています。最も需要が多いのはお盆シーズンの8月です。これが帰省需要によるものなら、5月(ゴールデンウイーク)や12月も多くなるはずですが、5月も12月も他の月と比べてそれほど多くはなっていません。おそらく、学校が夏休みに入ることで家族旅行が増えやすくなることが原因なのではないかと思います。

他の都道府県だとまた違う傾向があるかもしれませんが、もしこれが全国的な傾向だとするなら、季節波動を抑えるために、フランスみたいに学校の夏休み期間を地域別に分散させるような制度があってもいいんじゃないかと思います。

行き先No.1は大阪市

都民の宿泊旅行先No.1は一年を通して大阪市でした。このデータにはビジネス客も含まれていますし、大阪出身の東京都民による帰省需要も大きく、このような結果となっているのでしょう。

なお、上記の表には示していませんが、大阪市のなかでも此花区で宿泊している人が最も多かったことから、あきらかにUSJの需要が大きいことが分かります。3、8、9、12月の数値が大きいので、ここでも小中高生の休暇期間が影響しているように考えられます。

冬の京都が苦戦している理由は、ガーラ湯沢

第2位は京都市でした。意外と5月や12月の需要が大きくなっています。理由は謎です(笑)。もしかすると修学旅行が影響しているかもですが。

一方で、1,2月の宿泊者数が大きく落ち込んでいます。いまでこそ2月はレストラン・ウィンター・スペシャルと銘打って、食のキャンペーンを展開している京都市ですが、この時期はコンテンツが少なく昔から苦戦しています。

そうでなくても、この時期の東京都民は湯沢町への旅行が非常に多くなっており、スキー・スノボに夢中であることがよくわかります。やはり、新幹線で2時間以内に到着でき、駅からゲレンデが直結しているガーラ湯沢の集客力は半端じゃないようです。

冬の京都への旅行者を増やすためには、このスキー客層を無視することはできなさそうです。雪山も温泉も無い京都にとっては非常に難しい課題です。

昔ながらの観光地が上位に

名古屋、福岡、仙台などの主要都市はビジネスや帰省需要によるものだとして、それ以外で上位にランクインしたのは熱海などの伊豆方面と、日光・軽井沢などの北関東方面でした。どちらも景勝地や温泉で有名な昔ながらの観光地ですが、伊東や下田などの地域までランクインしているのは、関西人にとっては意外な結果でした。

ただ、それ以上に意外なのは、港区(東京都)がランクインしていること。さすがに、ラブホテル需要までデータには反映されてないと思うんですがねぇ笑

まとめ

  • 観光予報プラットフォームを使えば、市場シェアを把握することができる
  • 学校の休暇期間が与える影響は大きい
  • 京都の冬は、スキー客層の切り崩しが課題
  • 意外と人気な伊豆半島

投稿するネタがないときは、こんな感じで他の地域についても分析していこうと思います。