「おんな城主 直虎」に学ぶDMO経営

みなさん、今年の大河ドラマおんな城主 直虎」見てますか?
去年の「真田丸」は三谷幸喜演出で注目が集まったことに加えて、
女性主人公モノはなかなかヒットしないというジンクスがあるので、
あんまり期待してない方が多いんじゃないかと思います。

ただ、僕的には大当たりです。直虎、おもしろい。
主人公の性別に関わらず、戦国時代であるかどうかがポイントなんでしょう。
それに加えて、井伊家の弱小っぷりが良い。めっちゃ人死ぬ。
信長の野望で里見家プレイするのとかに通ずるものがあります。
なかでも、前々回あたりからテーマになっている徳政令騒動は、
DMOの経営を考えるうえで参考になります。

井伊谷政令騒動

政令といえば、桃太郎電鉄でおなじみの「借金帳消し」令です。
戦乱や飢饉が起こると、百姓は借金をせざるを得なくなり、
これに耐えきれなくなると領主に対して徳政令の発布を求めます。

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↑百姓役で登場したTKOの二人

政令を発布しても、債権者である商人が黙って引き下がるわけではありません。ドラマの中では、百姓たちの借金の肩代わりを領主である井伊家がしなければならなくなります。ところが、井伊家も戦の準備のために商人から大量の借金をしてしまっているのでそれどころではなく、問題はこじれてしまいます。

領主と百姓の両方に金を貸している商人 瀬戸方久(せと ほうきゅう)は、徳政令の交換条件として「井伊家の屋敷や領地などの財産」を提示し、直虎に究極の選択を迫ります。

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ムロツヨシ演じる瀬戸方久

男手を失い、土地も荒れ果ててしまった百姓を救うか、お家の存続を優先するか。
(本当はこの他に、高橋一生演じる今川家からの刺客 小野正次との謀略や、
井伊家の旧来家臣からの反発などが折り重なっているのですが、割愛)
直虎が講じた起死回生の一手や如何に。

起死回生の一手

財政が非常に厳しい状態において、問題を解決する手段はおそらく2つしかありません。
一つは、他国の領地を略奪すること、もう一つは、とにかく領内の生産性を上げること。

すでに兵力の大半を失っていた井伊家には後者以外に答えはありません。
そこで直虎は残り少なくなった家臣たちを集め、重大な決断を申し伝えます。

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方久に土地を預けるのは、これからの井伊のためじゃ。
今の井伊には金も人間もおらぬ。
裸一貫からのし上がった、方久の新しいやり方がいるのじゃ

直虎は、瀬戸方久からの借金に苦しむ村を、あえて瀬戸方久の所領として与え、
そのかわりに、村が借金を返せるよう稼げる仕組みを作ることを命じたのです。

領民の要望を聞き入れるか、組織の存続を維持するか、得体の知れない商人に経営を任せるリスクをとるか、というシチュエーション。これぞまさに、人口減少社会において外部人材を登用し、経営の近代化を求められているDMOが置かれている状況そのものではありませんか。直虎がCEOなら、瀬戸方久CMOです。

CEOには内部の人材を納得させ、有能なCMOを見出す力が問われます。
そして言うまでもなく、CMOには稼げる仕組みを作ることが期待されます。
方久は、直虎に対してこのように説いていました。

銭さえ持ってれば人は寄ってくる。
銭は千騎の武者に値する。銭は力じゃ。
あの石頭どもの鼻をあかしてみせましょう。

 

構造的な赤字が発生してる状況では、今いる人材で今ある産業を立て直すことよりも、
外部からの人材だからこそ生み出せる新しい付加価値をもとに、有無を言わさない実績をつくる手を打たなければ、「座して死を待つのみ」となっていまいます。(まぁ、コストカットは必要ですが)

いま、DMOの現場は、こういう選択を迫られているところがほとんどだと思いますが、CMOには新しい事業の企画に注力できる環境を用意してあげて欲しいと思います。比較優位の原則。じゃないと、ゲーム開始1年以内に、今川家に攻め込まれてゲームオーバーです(笑)。