これからの京都の観光マーケティング戦略

マーケティングの専門家として呼ばれて仕事してるけど、実際僕のキャリア背景はマーケティングではなくリサーチとかストラテジー寄りだったりします。でも、肩書を背負っているうちに、マーケティングについて聞かれることがあり、いつのまにかマーケティングについて偉そうに語ってしまえるようになりました。肩書が人を育てるみたいなことはあるのかもしれません。

 

とはいえ、それに見合った仕事ができているかと言われると、自己評価はまだまだ低いです。あるべき社会やそのための経営戦略を描いたりして、わかりやすくパワポにまとめるのはそれはそれで付加価値だとは思いますし、それを褒めてくれる人がいるのはありがたいとは思います。でも、それで社会の構造や人々の価値観が変わるほどのインパクトを残せているわけではないので、これで満足しているようでは自惚れでしかないよなぁと思ったり。

 

ということで、自分のネジのまきなおしのため、あらためて今後やりたいことを宣言。これが、これからの京都の観光マーケティング戦略と言っても過言ではない、と思います。

・検索アルゴリズム進化に伴うオウンドメディアの構造改革

・オーバーツーリズム対策としての顧客管理システムの開発

・観光客の潜在ニーズの把握によるガイド市場の底上げ

・事業者支援を通したデータ取得接点の拡大

 

これまで、講演の依頼を受けるとその都度何を話すべきか悩んでましたが、ここ最近色々考える機会があって、上記のテーマに収束してきました。来月も講演のご依頼をいただいているので、これをテーマにして話していこうかなぁと思います。この記事ではまだ細かいこと書けませんが、いい感じにまとまったら記事にできるといいなぁと思っています。

DMOはベンチャー企業にとってのドアキーパーだ

2年近く色々考えて思ったのは、DMOに必要なのは旅行商品を作れる人とか、キャンペーンの企画が上手な人ではなくて、イケてるサービスを提供してる人たちが政策実現に関与できるように引き込んであげることができる人なんだということ。

面白いこと考えている人たち、凄いサービス提供してる人たちを探すために色んなところに顔を出すのはもちろんやけど、それ以上に大事なのは、そういう人たちに対して「行政にどうやら話が通じそうな奴がいる」ということを知らしめることなんだと思います。

そのためには、地域の課題を顕在化させて、これを解決することがビジネスになる!っというアナウンスを強力に行うことが重要です。

また、提案したサービスが地域に受け入れられるか分からないというリスクを排除するため、地域のプレーヤーを巻き込んで合意形成しておくことも重要です。

なので、地域の観光の課題ってなんだったっけ、観光客はどんな人たちで何をニーズとして抱えてるんだろうか?といったことを、地域のプレーヤーたちを巻き込みながら一緒に考える場が求められます。

そこで出てきた課題を解決する手段を考えようというタイミングで、最新鋭のサービス事業者をうまくマッチングさせることができれば、地域にイノベーションをもたらすことができます。

逆にいうと、これまで地域にイノベーションがもたらされにくかったのは、地域の課題や顧客像の分析がなされていない、顕在化できていない、できていたとしても一部の人間によってしか行われていなかったからなんじゃないかと思います。

ということで、今年は情報発信施策の立て直しを頑張りつつも、地域観光課題を顕在化させるための合意形成とベンチャー支援的なことまでできればと思っています。

持続可能な観光地経営のためのメディア戦略(2)

最近,更新がマンスリーになってしまってます,すいません。
普段のお仕事のほうで,自分のアイディエーション欲が消化されてしまって,執筆にエネルギーが割けていないせいです笑。今回は前記事の続きということで,講演で話した中身を書いていきたいと思います。

戦略とは「性格」である

世に戦略と名のつく資料やプレゼンは無数にありますが,「やりたいことの羅列」だったり,「どのように取り組むかの解説」だったりで,戦略になっていないことがよくあります。

戦略とは,限られた資源や能力を何にどれくらい配分して,自分と競争相手とを差別化するかを示すものです。ゲームでキャラクターの能力を配分するような場面がありますが,人によって攻撃力に全振りしたり,バランスよく配分したり,好みが分かれるところに戦略が宿るのです。

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戦略を考えるとき,まずはこの「攻撃」や「防御」といったパラメータをどのように設定するかが重要です。何でライバルと差別化したいか,という発想で考えれば思いつきやすいかもしれません。

今回は対象が観光とメディアなので,観光客との接点のタイミング(旅マエ or 旅ナカ)という軸と,発信する情報の流動性(ストック or フロー)という軸で,下図のとおり整理してみました。各象限に記載したような取組に,それぞれどれくらいヒトやカネを投入するかを考える,ということになります。

ただし,実際は2軸だけで表現できるほど単純な構造ではないので,1分野に特化しすぎると観光客を誘導する流れが寸断されてしまう恐れがあることには注意が必要です。また,ターゲットとする観光客によっても変わってくることも重要です(余裕があれば,3軸で考えるのがよいでしょう)。

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京都の場合は,国内はもちろん世界的には比較的知名度を獲得できているので,「旅ナカ」を重視して,来てくれた観光客に対するサービス(FAQの整備など)や,旅行中のアクティビティや消費につながる流れ(予約システムなど)を強化することになります。

また,観光インフラの整備には昔から取り組んできており,リピーター率が高く観光客のニーズも多様化しつつあるので,「フロー」型の情報発信を重視するのが良いと考えています。

繰り返しになりますが,本当はターゲットごとに緻密に組み立てたほうがいいのですが,今回はオーディエンスにとって考えるきっかけを与えることが目的なので,このくらいにしておきます。

トリプルメディア

メディアを語るうえで「トリプルメディア」論は避けては通れません。すなわち,広告費を支払って宣伝する「ペイドメディア」,SNS等で不特定多数が話題にしてくれることを期待する「アーンドメディア」,自社で運営する「オウンドメディア」の3つのバランスをどう考えるかということです。最近は,アーンドメディアとSNS等の「シェアードメディア」を区別して,4つにして考えるという主張もあります。

 

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まず「ペイドメディア」ですが,なるべく利用しないというのが僕のポリシーです。よほど集客を増やしたいイベントがあって,どんな顧客であっても満足してもらえる自信があって,宣伝の投資対効果が読めているような場合であれば別ですが,その準備ができていない段階で広告を運用しても効率が悪いからです。しかも,京都の場合はコチラから売り込まなくても取材依頼が入ることが多いので,取材を支援することに予算を投下したほうが良いということで,「メディア支援センター」を運営しています。

次に「アーンドメディア」ですが,ファンを作って話題にしてもらうためには,結局「オウンドメディア」をどのように運営するかというところに行き着くので,実はあまりできることはありません。僕はむしろ,世間でどのように話題にされているのかを情報収集して分析する対象として捉えることが重要だと思っています。最近は様々なソーシャルリスニングツールが普及してきていますが,それらをお金をかけてバリバリ活用するまでいかなくても,インフルエンサーと思われるアカウントをフォローしたり,RSSリーダーでザッピングするだけでも十分じゃないかと思います。

最後に「オウンドメディア」ですが,これは冒頭のメディア戦略に則り「旅ナカ」「フロー」を重視して,ファンとのコミュニケーションを強化していけるようなWEBサイトや公式アカウントの運営を目指すことになります。なおかつ,いま観光業界が盛り上がって予算的な余裕があるあいだに,PDCAサイクルを回していけるような仕組みを作り込んでおくことで,市場や顧客層の変化に柔軟に対応していけるようにしたいと思っています。

 

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民間との差別化

観光地経営という立場でメディア運営を考えるとき,民間のガイドブックやWEBマガジンとの差別化は非常に重要です。民間と同じことをしていたのでは,社会的に無駄が発生するだけでなく,民業圧迫にもつながります。(過去記事でも,何度もお伝えしてきたことなので耳タコかもしれませんが,何度でも言わないと忘れられてしまいがちなので)

DMOとして,民間メディアはできないこと,行政ではできないことを意識して,その地域における唯一無二のメディアを確立しなければなりません。主な差別化のポイントを下図のとおり書き出してみました。地域によってこのバランスは異なるので,実情に合わせたポジショニングをとることになります。

 

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持続可能にするためのビジネスモデルとは?

今日は(今月は?笑)このくらいで。次回は,タイトルにある「持続可能な」を考えるうえで重要なビジネスモデルと,民間との差別化の延長線上にあるB2B(事業者向け)の取組について書きたいと思います。

持続可能な観光地経営のためのメディア戦略(1)

先日,ちょっとしたセミナーで登壇する機会をいただいたので,その時話した内容をまとめておきたいと思います。

もともとは「京都におけるWEBマーケティングの手法」について話して,というお題をもらったのですが,京都に戻ってきてから1年半で,自慢できるような手法の確立はおろか着手すらままならない,というのが実態です。なので,これまで分析してきた京都観光市場の特性や,DMOという組織が抱える課題を踏まえた来年度の方針について話すことにしました。話の流れは以下の通り。

大きく3段構成になっていて,導入ではこのプレゼンの位置付けの確認,中盤はマーケティングの基本的な考え方に沿って京都における構想を発表し,最後にあまり語られることのないB2B(観光客ではなく地域の事業者に対するマーケティング)について触れています。

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プレゼンも差別化が命

では,導入部分からお伝えしていきます。僕が専門にしているマーケティングブランディングにおいて最も重要だと思っているのは「差別化」なのですが,今回のようなセミナーでプレゼンするときにも意識しています。自分以外にも登壇される方がいる場合には尚更です。

今回は,観光専門WEBメディアの方と,WEBサイトログ販売事業者の方が来られていたので,WEBメディアの一般理論を語っても太刀打ちできません。そこで,京都という都市の特性や,DMOという行政寄りの現場が抱える課題から考えたことを伝えるように心がけました。

まず,京都という都市の特性ですが,これはオーバーツーリズムの一言に尽きます。この手のセミナーに参加される方は,喉から手が出るほど観光客が欲しいというほど集客に困っている地域の方が多いはずなので,京都のように観光客が増えすぎて困っているような街の話は他人事として捉えられてしまうかもしれません。そこでここは逆説的に,観光客が多すぎるからこそ「本当に来て欲しい人を呼ぶためにするべきこと」というDestination Marketingの本質が意識されるようになり,どんな地域においてもその地域にとって良いお客さんが根付かせていくためのヒントになるはず,ということを理解してもらいます。

つぎに,DMOのポジショニングについて確認をします。これも,地域が置かれている状況やプレーヤーとの関係によって認識が異なることが多いので,下図のようにセグメントを設定して可視化します。京都の場合は観光客を自力で呼べるプレーヤーが多いものの,ICTリテラシーのバラつきが大きいので,これを底上げしていくことが課題となっています。これを解決するためには行政やコンサル・大学の役割が期待されますが,「帯に短し襷に長し」ということで,それなりのリテラシーとプレーヤーとのネットワークを持って情報収集・情報発信ができるDMOに存在意義があるのです。

 

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あと,自己紹介ついでに自分のキャリアについても触れておきます。というのも,人口の少ない地域のDMOほど「WEBやマーケティングができる人材が見つからなくて困っている」という声が強く,自分のようなマーケターをどうやって見つければいいのかに対して答えを用意しておく必要があるからです。とはいえ,僕がUターンして今の仕事に就けたときのような奇跡を待ってもらっても仕方がありません。なので,マーケターは探し出すよりも育てるほうが良い説を唱えるようにしています。

実際,今回マーケティングの専門家としてWEBの話をしている僕自身,数年前までは自慢できるほどの専門領域を持たないシンクタンカーであり,WEBも担当者が不在だったから成り行きと独学で身につけることができただけです。なので,凄い専門家を呼び寄せることに頭を悩ませるよりも,身近な人の中で少しでもやる気のある(できれば若い)人にマーケティングを任せてみるところからやってみればいいんじゃないかと思います。受入体制が十分でないのに凄腕のマーケターを呼んできても,お互いが不幸になるだけですし。組織の身の丈にあったマーケターを育てたほうが無駄がありません。

こういうマインドセットを持ってもらうことで,この後に続くプレゼンも「もしかしたら自分にもできることかもしれない」という姿勢で聞いてもらえるようにしたい,という狙いもあるとかないとか。

本題は次回で

以上が導入部分でした。持ち時間30分なのに,ここまでで10分くらい使ってしまって,いつまで立っても時間配分が下手くそなのを反省。肝心のメディア戦略については,次記事に回しますので,お楽しみに。

どうすれば,生活文化としての和装(着物)を継承していけるか

今日は,「学生が考えるこれからの京都観光」@京大へ行ってきました。

なぜ行ったのか

この手のパネルディスカッションって,パネラーの頭の回転がよっぽど早かったり,慣れてる人だったりじゃないと,だいたい議論がかみ合わなくて良くわからないままに終わってしまうことが多いので,正直あんまり好きではありません。

それでも参加したのは,専門家とか起業家ではなく,学生にとっての京都観光の捉え方を考える機会を持ちたかったからです。とういうのも,京都は10人に1人が学生といわれるほど学生が多い街で,学生は京都観光にとって非常に重要な顧客セグメントのひとつなんです。

全国から集まる学生が在学中に京都観光を経験することで,卒業後も京都に対する愛着を持ってくれるというアドバンテージが京都にはあります。ただ,それを政策的にうまく推進できているかというとまだまだです。なので,このシンポジウムを通して学生の好みを把握して,これから取り組もうと思っている顧客像の設計の参考にしようと思ったのです。

和装文化の継承

ディスカッションのテーマは2つあったんですが,1つ目は「和装文化の継承」でした。以下は,主な意見とそれに対する僕の感想。

  • 着物は普段使いが不便。洋服との融合を。
    →まぁ,ありきたり

  • 日本人は重ね着をするの好きで,着物と相性がよいということの自覚を促す。
    洋服との着合わせの提案があれば,面白いのかも

  • 浴衣を持っている女子は多い。なぜなら夏には浴衣向けのイベントがあるから。
    →レンタル,着付サービスもセットにすることを前提に,和装ドレスコードの冬イベントがあっても良さそう。でも,浴衣より着付に時間がかかるので大勢を動員するイベントには不向きか。

  • 外国人や若者にとって,着物は非日常体験。特別なイベントがあるときに着るもの。非日常をきっかけにしないと,なかなか難しい。
    →本質的な指摘。若者にとっての非日常なイベント(成人式や結婚式などは当然として)とは何なのかを考え,それにあった提案をするのが有効。

  • お端折りは明治時代にできたもの。伝統であったも,当代に合わせて変化は必要。原型を留めつつも,保温性の高い生地や,形状記憶などの技術革新によって,ブレイクスルーが起こるかも。

  • 現代は,着物で生活しにくい空間が多くなってしまった。着物だけの問題ではなく,インフラなどの環境もセットで考える必要がある。
    →そのとおりですね。着物特区でも作りますか。

  • 着物を着ると,周りから注目されるようになったり,必ず自分の生活に変化がもたらされる。その良さを伝えられるかどうか。
    なぜ変化を必要とするのかを考えて,そのシチュエーションに合わせた着物の活用を提案していかないといけないですね。

 

最後の点がほぼ答えなんだと思います。残念なことに,この意見は学生ではなく,お題を出した側でした笑。ほんとは,変化を必要とする理由として何があるのかついて深掘りの議論してほしかったんですが,そういう流れにまではたどり着けないのがパネルディスカッションの限界・・・笑

とはいえ,これからの観光について考えるときのネタにはなりそうです。

 

さて,2つ目のお題は日本酒についてでしたが,もう眠いので今日はここまで。
おやすみなさい。

Octparseで春の京都の客室単価をBooking.comからスクレイピングしてみた

突然ですが,スクレイピングとかクローリングという言葉をご存知でしょうか?

いえ,全くもって初耳です

そうですよね。簡単に言うと,WEB上に載ってる膨大なデータを,自動的に読み込んでくる技術のことです。

なるほど。なんか,プログラミングとかする感じのやつですか?

うん,僕もちょっと前までそう思ってて,Excelのマクロを使ったり,Rubyを使ってみたりしてたんだ。でも世の中,日進月歩なわけで,親切な人が便利なソフトを開発してくれて,プログラミング無しでもスクレイピングは可能になったんだよ。

やったらウチでも使えるかも?

そうだね。今日は,宿泊予約サイトBooking.comに掲載されている春休み期間の京都市内宿泊施設を,1月22日時点で検索したときの価格を整理してみました。Octoparseの使い方については,下記の記事を参考にしてください。

集計結果

まずは,日付別に価格帯の分布を単純に整理した結果から。

3月の平均価格は3万円前後やけど,4月に入ったら4万円くらいまで上がってますね!

うん。同じ春休みでも,4月のほうが需要が多いみたいだね。掲載件数も4月に入ってから減ってるから,売り切れになってる所が多いんでしょう。

せやけど,なんで4月のほうが高くなるんですか?

このデータだけではわからないけど,4月のほうが桜を見られる可能性が高いからだろうね。去年は開花時期が遅かったっていうのも影響してるかも。あと,今年のイースター休暇は4/1~4/8だから,キリスト教系の外国人旅行者がたくさん来るっていうのもあるね。

なるほど~,そしたら日本人観光客は,3月中に行ったほうが,ゆっくり桜見れそうですね!

次に,宿泊施設のタイプ別の特徴を比較してみました。タイプの定義は,もともとBooking.comで設定されているものをベースに,ざっと僕の目で確認して修正を加えたものです。旅館業法の登録区分と一致しているわけではないし,必ずしも,Booking.comの分類が正しいわけでもないので,ここはある程度主観的な操作があっても問題ないということでご了承ください。

旅館が一番高いんですね!ホテルが安いのも意外です。

うーん,まぁこれは分類が微妙っていうのもあるかもね。ホテルっていっても,5つ星のホテルもあれば,ビジネスホテルとかもあるから。このあたり,今後目視で修正して精度を高めようと思ってます。

最後に,エリア別の違いを見てみましょう。

伏見稲荷はめちゃくちゃ高いですね。さすが人気エリア。でも,稲荷以外の伏見エリアは逆に安いんですね。大して距離変わらんのに意外です。

そうだね。伏見稲荷から歩いて行ける距離であることに価値があるのかもね。稲荷山を登るのは結構ハードだから宿に荷物を預けてから行くとか,朝早くに人がいないあいだに散歩したいとか。

なるほどー。ここまで細かいデータが取れると,いろんなことが分かりそうですね。

うん,ただ,逆に言うと,こうやって簡単にデータを取得できるようになってきたんだから,データを抱えている業者は,データを隠すよりも積極的に公開して,他社とコラボしていったほうがトータルでは得になる,って考え方に切り替えて欲しいなぁって思います。

オープンイノベーションってやつですね!。

そのとおり!では,今日はこのくらいにしておきましょう。

オーバー・ツーリズムと価格弾力性

みなさんこんにちは,らいみんです。これまでダラダラとした文章を書くことが多く,読むの大変だったと思うので,今回は(できれば次回以降も)こういう感じでお届けしたいと思います。

えらい唐突ですね(笑)

ん?君は誰ですか?

いやいや,自分で登場させておいて「誰ですか?」やあらへんがな!

ごめんごめん,一通り表情のアイコンを試したくって冗談言ってみただけです笑

しゃーないなー,こんな素人が作った脚本見せられたら,タイトルにつられてブログ読みに来た人,「戻るボタン」連打やで,絶対。

あ,みなさん,ウチは大学で観光の勉強してて,らいみんさんのところでバイトしている京子って言います。一応京都人っていう設定です。よろしく♫

はい,では前置きはこのくらいにしておいて,今日の本題に入りましょう!

オーバー・ツーリズムとは?

京子さん,オーバー・ツーリズムって聞いたことありますか?

ツーリズムをオーバーするんやから,旅行しすぎる的な感じの意味ですか?

そうそう,そういう感じ。観光の世界でいま一番ホットなキーワードが,この「オーバー・ツーリズム」で,いわゆる「観光客来すぎ」問題のことです。

バルセロナや,下記記事にあるアムステルダムといった街では,急増する観光客への対策がいろいろと検討されているようです。

それって,京都も似たような状況ですね。

そうですね。京都市では,オーバー・ツーリズム対策の一環として,今年から宿泊税の施行が予定されており,民泊への規制条例も厳しく制定されることから,その対応に世界から注目が集まっています。

具体的には,どのへんが注目ポイントなんですか?

一言でいうと,オーバー・ツーリズム(とりわけ民泊問題)の世界初の成功事例になるかもしれないってところだね。

へぇー,なんか意外。民泊って,欧米とかのほうが進んでて,対策も進んでるんとちゃうんですか?

いやいや,だからこそなんだよ。日本よりも民泊の普及が早かったパリなどの欧米の観光都市は,民泊に対する規制が間に合わなかったから,民泊の広まりに歯止めをかけられずに,観光地のブランドを損なってしまうような問題がたくさん起こってるみたいなんだ。


たしかに,テロの温床になっていた,みたいなニュース見たような気がします。

うん,そしてパリ以外でも似たようなことが置きているんだ。

次のグラフを見てごらん。世界の有名な観光地の客室平均価格の前年比を表してるんだけど,外国では2015年から2016年にかけてマイナス成長が続いてることがわかるね。でも,京都は上がり続けているってことから,諸外国ほどの問題にはなってないんだね。

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出所)京都市観光協会 ホテル統計におけるSTR社レポートをもとに作成

なるほど,調子のいいあいだにうまく対策せなあかんってことですね!

ちなみに,京都市の統計上の延宿泊客数は約2,150万人泊だけど,これとは別に市内の民泊が約131万人泊と推計されます。

この131万人泊という数字は,市内の営業件数が約6,000軒(出典:AirLABO 1/13時点),稼働率は約30%(出典:AirbDatabank 1/13時点),一件あたりの平均宿泊人数を2名,365日営業すると仮定して算出しました。

この記事を書いている途中に,Airbnb京都市内の民泊利用数を公表する記事が出ていました。記事によると,2017年は約200万人泊の利用があったようで,想像以上に民泊の規模は大きくなっていることがわかります。

 

そうすると,民泊が占める割合は,131 ÷(2,150+131)≒ 6パーセントですね。これって多いんですか?

京都市に来る修学旅行生が年間約100万人泊だから,それよりも多いってことにはなるね。

あと,下記の調査によると,パリでは民泊が10%を占めてるみたいです。パリ以外の地方部では36%まで達していて,フランス全体では16%ってことだから,京都はまだマシってことになるね。

逆に言うと,京都もパリと同じくらいになる可能性はあるってことですね。

うん。そして,もちろん民泊だけでなく,混雑や渋滞など様々な問題が,オーバー・ツーリズムによって引き起こされるんだ。

オーバー・ツーリズムへの対応

この問題を解決するためには,入込規制をかけるか,価格を上げて需要を抑えるかのどちらかしかありません。そこでさっき言ったとおり,宿泊税というカタチで観光客に対する価格を上げるわけですが,これをどれくらい上げれば良いのかが非常に興味深い問題だと思っています。

あんまり高くしすぎると,お客さん逃げちゃいますからね。

観光客の供給力(観光客が住んでいる地域の人口や経済水準,航空路線の座席数など)が一定であれば,さきほどの客室単価の変動をもとに,どのくらい価格変動に対して観光客の需要が変動するか計算できますが,実際にはそうでないので需要関数と供給関数の方程式を解かなければならなくなります。

いや,いきなり専門用語多くて,ちょっと何言ってるか分からんのですけど。

あー,えーっと,客室単価があがれば本来は宿泊客数は減少するはずでしょ?

そうですね。でも,京都では逆に増えてます。

そう,だから,価格が変わらなかった場合にどれくらい増えてたのかを見込まないと,価格の影響力を評価できないんだ。この価格の影響力のことを,経済学では,「需要の価格弾力性」って言います。

まぁ,なんとなくわかりましたけど,だったらとりあえず観光客が増えなくなるまで,宿泊税増やせばいいんじゃないんですか?

まぁ,そういう思い切った政策もあり得るとは思うよ。でも大前提として,いまの宿泊単価が京都にとってふさわしい水準であるかどうかは別問題だからね。

次のグラフのとおり,京都の客室単価は世界の有名観光都市と比べるとまだまだ低いんです。世界との競争に勝ち残るためには,価格を上げながら需要も増やし,オーバー・ツーリズムにも対応していくという,極めて複雑な課題をクリアしないといけないんだ。

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出所)京都市観光協会 ホテル統計におけるSTR社レポートをもとに作成

どっちかを取ったら,どっちかがうまくいかんくなるようなこと,解決できるんですか?

結局は,ひとつひとつのサービスのクオリティを上げていって,高くても行きたいって思ってもらえるようにすることに尽きると思うよ。価格の下限は0円だけど上限は無いから,超高級なサービスが増えれば平均価格は上がっていくことになるからね。

もちろん,民泊の全てがオーバー・ツーリズムを助長しているわけではないけど,民泊利用者は価格に敏感なはずだから,あんまり増えすぎると,価格を上げようと思ってもすぐに需要が減ってしまうようなマーケットになってしまって,京都観光の持続的な成長を阻害してしまうんじゃないかと思います。

まぁ,ホテルと比べて撤退しやすい業態だから,客室単価の相場が上がるにつれて,民泊も自然淘汰されて適正な規模に落ち着くのかもしれないけれども。

いずれにしても,行政やDMOとしては,データ分析をしてなるべくロスの少ない課税水準を設けて,得られた税収でオーバー・ツーリズムの問題を解消する施策を打っていくってことが重要です。

なるほどー,がんばらないとですね!

そうだね!まずは,今日紹介したデータの詳細版や,京都市内のホテル統計の年報を近日中に発表しないといけないから,週明けからバリバリ働いてもらうよ!

お,お手柔らかに。。