外国人から京都はチャイナタウンだと思われている件について

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世界の旅行先ベスト10として京都が毎年ランクインしている旅行雑誌「トラベルアンドレジャー」で、紀行作家のピコ・アイヤー氏が日本に関する記事を書かれていました。

ピコ・アイヤーはTEDでも有名らしく、下記で紹介されるくらい有名な方です。「最も訪れたい場所は?」という問いに対して「どこにも行かないこと」なんていう逆説を唱えたりしてるようです。


さて、今回取り上げる記事には、主に奈良に関することが書かれています。このブログは京都に関するブログですが、ここで取り上げたのには理由があります。実は記事の最後の方で、京都は「チャイナタウン」と表現されているんです。

「旅慣れている人であっても、所詮は中国と日本の区別もつかないのか?」とツッコミたくなるところですが、きっとこの人のことだから意味があって言っているに違いありません。

忙しいあなたのために、該当箇所だけ抜粋しておきます。

you’ll understand why parts of Kyoto are now nicknamed “Chinatown” (almost all the young women in kimonos in the streets are in fact excited tourists)

(普段は着物なんて着ない)若い女性のほとんど(実は観光客)が、京都だから特別と言って(レンタル)着物を着て歩いている姿を見て、それが中国の様だ、と言うことでしょうか。

おそらく、中華街のようだという意味ではなく、まさしく東洋っぽいというニュアンスでしょうか。もしかすると、奈良と比べると雑然としていて大衆迎合的=中国?だ、という意味合いも含まれているかもしれませんが。

京都という街は実は純和風ではなく、中世あたりの中国文化の影響を物凄く受けていて、西洋人からして見たら「京都はチャイナタウン」という表現は、実は本質を捉えているんじゃないかとも思います。高層ビルが立ち並ぶ上海や北京の街並みは、彼らにとってのChinaやOrientalというイメージとはかけ離れているのでしょう。

 

古くから都であったことで大陸の新しい文化を浴び続けてきた結果、京都はショーケースのようにして出来上がってきた街でありコスプレ感覚で着物を着て歩く人が増えることは必然なのかもしれない、と思えてもきます。

 

中国人が、自国からは失われてしまった中国文化の面影を求めて日本に来ているという話もありますし、京都は中国以上に中国っぽい景観や風土を残していると認識されているのかもしれません。(この写真はどこの街だと思いますかアンケートしてみたら面白いかも)

 

市民の生活は見世物では無い、市民生活との調和が大事!という世論が高まりつつありますが、ショーケースのなかで生きているんだという自覚や寛容さみたいなものを持って過ごしたほうが、京都という街の面白さに浸れるんじゃないかと思う今日このごろ。

 

アジアのことをよく知らない外国人にとっては、中国っぽい街、京都。
日本のことを知りすぎている外国人にとっても、中国っぽい街、京都。
良くも悪くも、中国っぽい。それは多分、京都も中華思想だから。

DMOは観光スポットを"オススメ"してはいけないのか?

DMOには色々な法人格があります。主なものは以下のとおりです。

ざっくり言うと、公益法人NPOは利益追求したらダメで、一般法人や株式会社はしてもいい。ウチは公益法人なので、どんな事業をするにしても公益性が大事になります。

そこで最近の悩みがひとつ。

観光地のメディア運営をするとなると、ユーザーにWEB検索で見つけてもらわないと話にならないので、ニーズが強いテーマやよく調べられるワードを当然意識することになります。そこで避けては通れないのが「オススメ」という言葉。

以前、mierucaというサービスのお試し版を使って調べたキーワードマップをみても「おすすめ」や「オススメ」というワードの強さは一目瞭然です。

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ですが、最近コンテンツを作っていると「オススメという言葉を使うな!」とか、「そこを取り上げると、他のところへの配慮が」という指摘を受けまくってしまって、大変困惑しています。

それを気にして、配慮に配慮を重ねて、あれもこれも横並びに紹介するような記事に、いったい誰が興味を示すでしょうか。ただでさえ情報が氾濫して探し出すのが面倒くさくなっていると言われているにも関わらず。

そこで二の足を踏んでしまってユーザーへリーチする機会を失ってしまい、結果として来てくれていた観光客をみすみす逃し続けていては、公害法人と言われても仕方がありません。

まぁ、特定の施設をオススメしても不平不満が生じないように、理論武装して客観的な基準を設けて非の打ち所のないコンテンツを作れ、というのが答えなのかもしれません。でも、そういうコンテンツほどつまらないし、作っていても面白くない。ユーザーが一番読みたいのは、DMOの職員自身がオススメするスポットやコース、生の声だと思うんですよね。それが分かっているのにできないもどかしさと言ったらないです。

 

ただ悩んでいてもしょうがないので、解決策として期待ができるのは2つ。

  • 制約があるなかで作った自前のコンテンツを呼び水にして、民間事業者から寄稿を募る仕組みを作ること
  • とにかく簡単に量産できる記事テーマ(来月の新着イベント!とか)を用意すること

たぶん、同じようなことで悩んでいる人が、これまでにもいるだろうし、これから更に増えると思うので、うまいやり方があればシェアして欲しいものです。

DMOの財源論/これ以上京都に観光客は必要か?

今日は台風ですが、京大主催の観光に関する公開勉強会に行ってきました。

  • オーバーツーリズム研究で有名な北海道大学の石黒先生
  • 観光地経営の第一人者 セントラルフロリダ大学の原先生
  • 合法民泊で有名な株式会社百戦錬磨の上山(かみやま)社長
  • 民泊条例や宿泊税を担当している京都市役所の福原部長

の4名によるゲストトークを聞いていて思ったことを書きたいと思います。

観光を考える定例シンポジウム(第6回)「これ以上京都に観光客は必要か? DMOの観光開発に果たす役割」 — 京都大学

おもに語られたのは、DMOのあり方とオーバーツーリズムについてです。

 DMOの財源論

バルセロナのDMOの予算規模は70億円にのぼり、観光振興において絶大な影響力を持っているそうです。その6割は観光案内所等における物販によるもので、観光税からの収入は全体の1割程度。ただし、DMOが助成する旅行商品には税金が投入されているので、そこまで財政的に独立しているわけではない模様。

 →DMOは税金に頼らない経営をしないといけないという意見がありますが、
  DMOに税金が投入されていること自体は、問題の本質ではないと思います。
  むしろ、税金を活用していないDMOは、DMOではない
  といってもいいかもしれません。

  税金漬けが問題になるのは、その税金が住民からしか徴収されておらず、
  DMOの集客事業の成果と税収が連動していない状態である場合です。
  なぜなら、DMOが集客しても、その恩恵によって住民税が増えるとは限らず、
  いずれ人口減少に伴って住民税は減り、DMOは財政破綻してしまうからです。
  たとえ税収が増えたとしても、DMOの財源になるまでの過程が複雑すぎて、
  大抵は住民福祉やインフラ整備に充てられてしまい、
  DMOの財源としての根拠は薄く、すぐに剥がされてしまうことになります。

  一方で、宿泊税などのカタチで、住民以外も納税者化し、
  その観光地の経済圏が行政区という地理的な枠組みから脱却できていれば、
  DMOの財源が税金だけで構成されていても問題にはなりません。

  観光客にとっても住民にとっても事業者にとっても公共性が高く、
  市場原理に任せて直接受益者負担でビジネス化するのが難しいような課題を、
  行政区ではなく観光客目線でのエリア単位でもって、
  宿泊税や会費制度などの間接的な財源調達による事業運営で
  解決するということがDMOである

  と、今日自分のなかでの定義が更新されました。

DMOの究極の事業ドメイン

  これを突き詰めていくと、最終的にDMOがたどり着く事業ドメインは、
  以下の3つなんじゃないか、とも思いました。

  • 観光に関する調査研究・戦略策定・経済可視化(いわゆるシンクタンク機能)
  • ステークホルダー間の合意形成と課題の顕在化(ミートアップ等の開催)
  • 観光案内などの情報インフラ整備

  これらは、観光客、住民、事業者のいずれにとっても公共性が高く、
  DMOとして直接収益を上げて独立採算をとることも難しく、
  ステークホルダーから、サブスクリプションモデルで資金調達して
  実施するべき事業だからです。

これ以上京都に観光客は必要か?

あまりこのテーマについて深く議論されることはなかったので、以下は持論でしかありませんが、

 高単価・長期滞在で京都に対する理解度の高い観光客なら必要

ということに尽きると思います。

まずは、ハイエンドな顧客体験とは何かについて研究し続けることです。たぶん、顧客と直接コミュニケーションをとる機会が多いサービス形態を増やすことだと思います。なぜなら、機械化できないサービスほど人件費が発生して、単価が上がるから。つまり、コンシェルジュやガイド人材を増やすということになると思います。

あとは、「一見さんお断り」を科学的に再現することです。つまり、紹介制のファンクラブのようなものを作って、会員しか体験できないコンテンツを用意し、理解度を高めていってもらえるようにするということ。

これは、初心者を排除するということではなく、常連になるつもりもなく1回限りで去っていくような人をなるべく減らす、ということです。ゲーミフィケーションですね。

京都市版DMO発足記念シンポジウムを終えて

 

シンポジウム開催の経緯

京都市観光協会観光庁からDMOに認定されたのは2017年の11月でした。ただ、認定されたからといって、その日を境になにかが激的に変わったわけではありません。2018年度に認定を受けたDMOを対象とした補助金(全国計約16億円)が執行されたというくらいです。まぁ、認定の基準は一応あるにはあるんですが、組織や事業の質はさまざまなので柔軟に評価せざるを得ず、正直なところ判定基準はガバガバだと思います。

なので、何を持ってDMOがDMOとして活動できているかどうかは、そのDMO自身の心持ちによって決まると言っても過言ではないと思います。僕としては、京都に戻ってきてDMOで仕事をし始めたときから、既にDMOとして活動しているつもりではあります。とはいえ、外から見て「具体的に何が変わったの(変わるの)?」という問いに対する明快な答えを用意できていたわけではありませんし、内部的にも十分な理解を得られて来たとはいえない状況だったので、相応の準備を経て対外的にDMO化の宣言を行う必要がありました。

そういった経緯で、2018年の9月という今更のタイミングではありますが、シンポジウムの開催を行うことになりました。基本的な下記リンクからご確認ください。

以下は、当日印象に残った登壇者(おもにデービッドアトキンソン氏ですが)の発言で印象に残った部分のおさらいと感想です。

宿泊税はオーバーツーリズム対策の常識

京都市においても10月から宿泊税の課税が始まります。導入にあたっては賛否両論あったわけですが、やはりオーバーツーリズムを解消しながら地域経済を成長させるためには、最もオーソドックスで効果的な施策であるということが確認されました(厳密には、きちんと効果測定をしないといけませんが)。

「課税によって宿泊価格が上がることで客に逃げられて困る」という懸念は、個社の立場からすれば確かに重大事ではありますが、地域経営全体の目線からすると「価格が上がっても勝負できるレベルの宿以外が淘汰されることはやむを得ない(むしろ望ましい)」ということなのです。

京都としては「知恵を絞って、設備投資も行って、常にハイエンドやエッジの効いたスタイルを狙っていくスタイルで、観光都市間競争を生き残っていく」と決めているので、「これに付いてきてくれないのなら京都以外の街のほうがやりやすいですよ」というくらいのメッセージを改めて伝えていかなくてはならないと思います。

なおかつ、このハイエンド化へのサポートを、宿泊税を財源として進めていくことで、正のフィードバックを働かせる必要もあります。市民の福祉やインフラ整備の充実は大事ですが、ハイエンド化につながらないことに宿泊税を使ってしまうと、徐々に値上げの方針に耐えられない事業者が続出してしまい、結果として税収が減ってしまうという悪循環に陥ってしまうからです。

このあたりの基本的な仕組みを、関係者がどれだけきっちりと認識できているかどうかで、地域の底力が試されると思いました。

人口増加時代の観光

アトキンソン氏は「昭和の観光」という表現を使っていましたが、僕に言わせてみれば、平成に入ってもいまだに同じビジネスモデルがしぶとく生き残っているので、「人口増加時代の観光」のほうがしっくりきます。この言葉が意味するところは、これまでこのブログでも節々で説明してきたと思いますが、あらためて確認しておきたいと思います。

すなわち、人口が増える時代は、顧客の満足度を高めてリピーター化する努力をしなくても常に新しい顧客が現れるので、とにかく宣伝して呼び込むことだけに注力すれば良かったということ。極端に言うと、新しい顧客がどれだけ不愉快な思いをして二度と来ないとなったとしても、また別の客を探せばいいだけだった、ということです。

そうすると、客を送り込む時点で収益を得られる交通機関や発地側の旅行会社の権限が強くなってしまい、着地側のサービスレベルを上げる取り組みが大幅に遅れてしまうことになります。シンポジウム会場では明言されませんでしたが、JRによる京の冬の旅などのデスティネーションキャンペーンは、まさにその典型と言えます(ポスターなどによるイメージの宣伝が中心で、顧客体験の価値を高めることにリソースが割かれてきていなかった、ということはまごうことなき事実です)。

ただ、インバウンドに関しては、アジア諸国の海外旅行人口が増加する余地があるので、旧来型のビジネスモデルでも通用しないこともないとは思います。とはいえ、それは中国やインドをターゲットにしている場合の話であり、京都は欧米や富裕層などの人口が増えないパイを取りに行く戦いに臨んでいるわけなので、基本的にはリピーター戦略をとらないといけないと僕は考えています。

京都に来ない人の気持ちを把握せよ

すでに来てくれた人のみを対象にした調査だけじゃなくて、来てくれない人が何を考えているのかを明らかにする必要があるということが、シンポジウムの話題にあがりました。これも僕が前からずっと要求してきたことなのですが、きちんとした調査をしてきた実績がない自治体のなかで、調査の必要性を理解してもらうのは至難の技だったので、外部の識者から指摘が入ったことは僥倖の極みです。とくに、「京都はとくに行きたくなくても、とりあえず行く観光地」であるというアトキンソン氏の指摘は、今一度噛み締めないといけないと思います。

ただし、僕はファンベースマーケティングの信仰者なので、外側に対するマーケティングよりは、ファンの気持ちをしっかりと理解することのほうのウェイトのほうが重いとは思っています。まぁ、ここはバランスということで。

客室稼働率は低くていい

これも固定概念を打破しましょうという話。

宿泊施設や交通機関など、在庫できない(後で売るということができない)タイプのサービスは、どうしても部屋や車両を満杯にしようとしてしまいます。交通機関の場合は法律による運賃規制があるので仕方がない面もありますが、宿泊施設などにはそういった制約はありません。

極端な話、1万円の部屋を100人に売るのも、100万円の部屋を1人に売るのも、売上は一緒です。でも、客室稼働率が高くなるとホテルの予約を取るのが難しくなり、行きたい時に行けないという機会損失が発生することになります(価格が高すぎて行けないっていう機会損失もあるやん、というご指摘もあるかもしれませんが、それは先程のハイエンド戦略からするとそもそも京都のターゲットではない、という整理になります)。

とはいえ、あまりにも客の少ないホテルで過ごすのはなんだか寂しいですし、ごく少数の顧客に依存するのは経営上のリスクも高くなります。アトキンソン氏いわく、理想的な稼働率は65%程度、とのことです(京都の主要ホテルの稼働率は90%弱です)。

文化観光にこだわりすぎ

京都の観光といえば、二言目には「文化」というキーワードが飛び出てきますが、「文化」だけで勝負するのは無理がある、という話題もありました。ブランドのコアに「文化」があることには間違いないけれども、抽象的ですぐに理解するのは難しい価値なので、「自然」や「アクティビティ」など、わかりやすいコンテンツで間口を広げましょうということです。

ちょうどこれから、ビギナーにはビギナー向けの、リピーターにはリピーター向けのコンテンツ配信を科学的に行っていこうと思っていたところなので、これも僕にとっては追い風です。

人間、自分にとって都合のよい事しか解釈できないとはいいますが、そうだとしてもこれだけ自分が信じてやってきたことにポジティブになれるのは、ありがたいことです。

DMOの施策を実現化する「場」づくり

今回のシンポジウムは、僕がこれからやりたいことを発表する場になったわけですが、間髪入れず、パネラーから「言ったからには全部やってくださいね」と釘を刺されてしまいました笑。そのためには、関係者を巻き込みながら取り組むような「場」を作ることが有効だ、というご示唆もいただきました。

実は、それも既に取り組む計画です。若手やベンチャーマインドのある人たちが気軽に集まることができて、その筋で著名なゲストスピーカーを招きつつ、観光の課題についてアイデアを出したり、観光協会がやろうしている事業の企画に加わってもらったりできるような場を、できれば月1回くらいはやっていければいいなぁという感じです。

まとめ

  • やりたいことがいっぱい
  • 後押しする意見がたくさん出た
  • みなさん応援してください

これからの京都の観光マーケティング戦略

マーケティングの専門家として呼ばれて仕事してるけど、実際僕のキャリア背景はマーケティングではなくリサーチとかストラテジー寄りだったりします。でも、肩書を背負っているうちに、マーケティングについて聞かれることがあり、いつのまにかマーケティングについて偉そうに語ってしまえるようになりました。肩書が人を育てるみたいなことはあるのかもしれません。

 

とはいえ、それに見合った仕事ができているかと言われると、自己評価はまだまだ低いです。あるべき社会やそのための経営戦略を描いたりして、わかりやすくパワポにまとめるのはそれはそれで付加価値だとは思いますし、それを褒めてくれる人がいるのはありがたいとは思います。でも、それで社会の構造や人々の価値観が変わるほどのインパクトを残せているわけではないので、これで満足しているようでは自惚れでしかないよなぁと思ったり。

 

ということで、自分のネジのまきなおしのため、あらためて今後やりたいことを宣言。これが、これからの京都の観光マーケティング戦略と言っても過言ではない、と思います。

・検索アルゴリズム進化に伴うオウンドメディアの構造改革

・オーバーツーリズム対策としての顧客管理システムの開発

・観光客の潜在ニーズの把握によるガイド市場の底上げ

・事業者支援を通したデータ取得接点の拡大

 

これまで、講演の依頼を受けるとその都度何を話すべきか悩んでましたが、ここ最近色々考える機会があって、上記のテーマに収束してきました。来月も講演のご依頼をいただいているので、これをテーマにして話していこうかなぁと思います。この記事ではまだ細かいこと書けませんが、いい感じにまとまったら記事にできるといいなぁと思っています。

DMOはベンチャー企業にとってのドアキーパーだ

2年近く色々考えて思ったのは、DMOに必要なのは旅行商品を作れる人とか、キャンペーンの企画が上手な人ではなくて、イケてるサービスを提供してる人たちが政策実現に関与できるように引き込んであげることができる人なんだということ。

面白いこと考えている人たち、凄いサービス提供してる人たちを探すために色んなところに顔を出すのはもちろんやけど、それ以上に大事なのは、そういう人たちに対して「行政にどうやら話が通じそうな奴がいる」ということを知らしめることなんだと思います。

そのためには、地域の課題を顕在化させて、これを解決することがビジネスになる!っというアナウンスを強力に行うことが重要です。

また、提案したサービスが地域に受け入れられるか分からないというリスクを排除するため、地域のプレーヤーを巻き込んで合意形成しておくことも重要です。

なので、地域の観光の課題ってなんだったっけ、観光客はどんな人たちで何をニーズとして抱えてるんだろうか?といったことを、地域のプレーヤーたちを巻き込みながら一緒に考える場が求められます。

そこで出てきた課題を解決する手段を考えようというタイミングで、最新鋭のサービス事業者をうまくマッチングさせることができれば、地域にイノベーションをもたらすことができます。

逆にいうと、これまで地域にイノベーションがもたらされにくかったのは、地域の課題や顧客像の分析がなされていない、顕在化できていない、できていたとしても一部の人間によってしか行われていなかったからなんじゃないかと思います。

ということで、今年は情報発信施策の立て直しを頑張りつつも、地域観光課題を顕在化させるための合意形成とベンチャー支援的なことまでできればと思っています。

持続可能な観光地経営のためのメディア戦略(2)

最近,更新がマンスリーになってしまってます,すいません。
普段のお仕事のほうで,自分のアイディエーション欲が消化されてしまって,執筆にエネルギーが割けていないせいです笑。今回は前記事の続きということで,講演で話した中身を書いていきたいと思います。

戦略とは「性格」である

世に戦略と名のつく資料やプレゼンは無数にありますが,「やりたいことの羅列」だったり,「どのように取り組むかの解説」だったりで,戦略になっていないことがよくあります。

戦略とは,限られた資源や能力を何にどれくらい配分して,自分と競争相手とを差別化するかを示すものです。ゲームでキャラクターの能力を配分するような場面がありますが,人によって攻撃力に全振りしたり,バランスよく配分したり,好みが分かれるところに戦略が宿るのです。

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戦略を考えるとき,まずはこの「攻撃」や「防御」といったパラメータをどのように設定するかが重要です。何でライバルと差別化したいか,という発想で考えれば思いつきやすいかもしれません。

今回は対象が観光とメディアなので,観光客との接点のタイミング(旅マエ or 旅ナカ)という軸と,発信する情報の流動性(ストック or フロー)という軸で,下図のとおり整理してみました。各象限に記載したような取組に,それぞれどれくらいヒトやカネを投入するかを考える,ということになります。

ただし,実際は2軸だけで表現できるほど単純な構造ではないので,1分野に特化しすぎると観光客を誘導する流れが寸断されてしまう恐れがあることには注意が必要です。また,ターゲットとする観光客によっても変わってくることも重要です(余裕があれば,3軸で考えるのがよいでしょう)。

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京都の場合は,国内はもちろん世界的には比較的知名度を獲得できているので,「旅ナカ」を重視して,来てくれた観光客に対するサービス(FAQの整備など)や,旅行中のアクティビティや消費につながる流れ(予約システムなど)を強化することになります。

また,観光インフラの整備には昔から取り組んできており,リピーター率が高く観光客のニーズも多様化しつつあるので,「フロー」型の情報発信を重視するのが良いと考えています。

繰り返しになりますが,本当はターゲットごとに緻密に組み立てたほうがいいのですが,今回はオーディエンスにとって考えるきっかけを与えることが目的なので,このくらいにしておきます。

トリプルメディア

メディアを語るうえで「トリプルメディア」論は避けては通れません。すなわち,広告費を支払って宣伝する「ペイドメディア」,SNS等で不特定多数が話題にしてくれることを期待する「アーンドメディア」,自社で運営する「オウンドメディア」の3つのバランスをどう考えるかということです。最近は,アーンドメディアとSNS等の「シェアードメディア」を区別して,4つにして考えるという主張もあります。

 

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まず「ペイドメディア」ですが,なるべく利用しないというのが僕のポリシーです。よほど集客を増やしたいイベントがあって,どんな顧客であっても満足してもらえる自信があって,宣伝の投資対効果が読めているような場合であれば別ですが,その準備ができていない段階で広告を運用しても効率が悪いからです。しかも,京都の場合はコチラから売り込まなくても取材依頼が入ることが多いので,取材を支援することに予算を投下したほうが良いということで,「メディア支援センター」を運営しています。

次に「アーンドメディア」ですが,ファンを作って話題にしてもらうためには,結局「オウンドメディア」をどのように運営するかというところに行き着くので,実はあまりできることはありません。僕はむしろ,世間でどのように話題にされているのかを情報収集して分析する対象として捉えることが重要だと思っています。最近は様々なソーシャルリスニングツールが普及してきていますが,それらをお金をかけてバリバリ活用するまでいかなくても,インフルエンサーと思われるアカウントをフォローしたり,RSSリーダーでザッピングするだけでも十分じゃないかと思います。

最後に「オウンドメディア」ですが,これは冒頭のメディア戦略に則り「旅ナカ」「フロー」を重視して,ファンとのコミュニケーションを強化していけるようなWEBサイトや公式アカウントの運営を目指すことになります。なおかつ,いま観光業界が盛り上がって予算的な余裕があるあいだに,PDCAサイクルを回していけるような仕組みを作り込んでおくことで,市場や顧客層の変化に柔軟に対応していけるようにしたいと思っています。

 

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民間との差別化

観光地経営という立場でメディア運営を考えるとき,民間のガイドブックやWEBマガジンとの差別化は非常に重要です。民間と同じことをしていたのでは,社会的に無駄が発生するだけでなく,民業圧迫にもつながります。(過去記事でも,何度もお伝えしてきたことなので耳タコかもしれませんが,何度でも言わないと忘れられてしまいがちなので)

DMOとして,民間メディアはできないこと,行政ではできないことを意識して,その地域における唯一無二のメディアを確立しなければなりません。主な差別化のポイントを下図のとおり書き出してみました。地域によってこのバランスは異なるので,実情に合わせたポジショニングをとることになります。

 

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持続可能にするためのビジネスモデルとは?

今日は(今月は?笑)このくらいで。次回は,タイトルにある「持続可能な」を考えるうえで重要なビジネスモデルと,民間との差別化の延長線上にあるB2B(事業者向け)の取組について書きたいと思います。