ジャパンブランド調査の分析

電通が2017年版のジャパンブランド調査の結果を発表しました。
世界20カ国の日本に対するブランド意識についての定点調査で、今年で7年目を迎えます。

https://dentsu-ho.com/articles/5143

オープンデータになっておらず不親切で、十分な分析ができませんが、思ったことを書いておきたいと思います(久しぶりにマーケティング記事。笑)

旅行先の比較方法

もともと旅行に特化した調査ではないのでしょうがないのかもしれませんが、観光地としてのブランドは、国単位で比較すればいいというわけではありません。欧米などの遠距離圏では、アジアの旅行先をざっくりとしか区別できていない人(中国みたいな東洋文化系、タイみたいなリゾート・エスニックな雰囲気系、日本のハイテク)が多いです。一方で、近距離圏のアジア諸国では、都市間での比較となりやすいです。

遠距離圏と近距離圏の線引きをするのは難しいですし、個人によって旅行先の単位は様々です。なので、この手の調査を行う場合は、あえて国も都市も混在させたうえで回答してもらってもいいんじゃないかと思います。意外と、「日本」よりも「東京」のほうが順位が高かったり、国同士では負けても、都市同士なら勝つ、みたいな逆転現象が見えてくるでしょう。また、その国を構成する都市のブランドの構造・バランスも把握することができます(1都市集中なのか、分散型なのか)。

中国人の内陸シフト

沿海部主要都市の旅行者は、ひととおり訪日を経験し、今後は欧米方面の更にリッチな旅へシフトしていくようです。しかし、次は内陸部からの旅行者が日本へやって来るということで、あまりリピーター率が上がらないままボリュームが増えていくと予想されます。(これは前から分かってたことなので、驚きはない)

まだしばらくは、これまでのビギナー旅行者向けの対応が通用するものの、フライト距離が長くなることで日本滞在期間が短くなるなど、意外な影響が現れるかもしれません。また、爆買の再来が囁かれていますが、eコマースの台頭や決裁環境の整備が進んだことで、同じような消費者が来たとしてもこれまでとは異なる行動をとる可能性があります。(ウィンドウショッピング的に旅行して、帰国してから注文しまくるとか)

米国の東西格差は周知の事実

西海岸のほうが親日って、当たり前の結果すぎてコメントすることが無い。。笑

聞き方が間違っている

ブランド調査というからには、
日本でやりたいことを聞くよりも、日本では何ができる場所かを聞いて欲しいし、
○○をするにはどの旅行先がいいか、という聞き方にして、はじめてブランドの競争力が測れるんじゃないかと思う。やはり、発地調査は自分でしっかり設計しないとな、と思いました。

ネガティブブランドも必要

悪いブランドイメージも見て欲しい。労働環境の悪さがダントツワーストなのは自明だとして(誰のせいとはいいませんが・・・)、国レベルで観光地としての穴場感が薄れてきているんじゃないかと思っているので。