目隠しマーケティングという需要開拓

セグメンテーション(顧客分類)やポジショニング(競合との差別化)は、マーケティングの基本ですが、これらはもはや古典と化しています。いま最も注目されているのは、インフルエンサーをいかに食いつかせるか、でしょう。

インフルエンサーとは、直訳すると「影響力のある人」ということで、旅ブロガーはもちろん業界関係者で情報の受発信に積極的な人たちがあてはまります。当然、そうした人たちは旅慣れているわけで、旅行先の決め方や動機はその他大勢とは異なると考えられます。

倦怠感(マンネリ)に陥っている彼らを刺激し、印象的な体験をしてもらうことで、SNS等を通して情報が拡散されていく、といった手順を踏まなければ、これからの時代市場シェアを広げていくことは難しいのです。

どこかへマイル

倦怠感を解消する手法のひとつとして面白いのが、去年JALが発表した「どこかへマイル」というサービスです。通常は国内の特典航空券の交換に必要なマイル数12000マイル〜を半分以下の6000マイルで交換できる代わり、当日空港に着くまで行き先が分からないというものです。

▼詳細はこち
http://xn--u9jwf3g0b279u8x3f.com/jal-dokokani-mail

経済的・日程的に余裕はあるし、旅行は好きだけどきっかけが無い、という人たちが旅行を見送ってしまうことによる機会損失を回収することができるサービスです。また、航空会社としても、普段利用の少ない路線を利用してもらうことができるので、需要の分散につなげることができます。

なんだか、画期的なビジネスモデルなようで、どこかありがちな感じもする、このモヤモヤした感じ、なんでしょう・・・?

 

 

そう、福袋です!

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なにが当たるかわからないけど、なんか欲しいという需要側と、売れ残ってて困ってるものを詰め合わせて捌いてしまいたい供給側のマッチングは、昔からあるんですね。ただ、ちょっとしたITのシステムが足りなかっただけで。

ジャケ買いならぬ、コピー買い

同じような手法として最近話題なのが、TSUTAYAのキャンペーン「敢えて見ないという借り方」です。DVDの作品名やジャケットを隠してしまい、店員が考えたオススメポイントのみを判断材料にして選ぶというもの。

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▼詳しくはこち
http://yurunew.com/omoshiro/5469/

福袋型ビジネスに、付加価値を与えたユニークなビジネスモデルだと思います。SEO対策されていないInstagramなどの生情報や、偶然の出会いを重視するミレニアル世代の存在感が強くなってきていることの現れなのかもしれません。

とくに、京都のようにリピーターが多く、需要の域内分散が課題になっているような地域において、この「目隠しマーケティング」は新たな可能性を秘めていると思います。

まぁ、この手の旅行商品は、すでに「ミステリーツアー」といったジャンルで各社が展開してはいるのですが、着地側でも商品開発していくようなことが、DMOとしてできれば面白いですね。

JTB「ミステリーツアー」
http://www.jtb.co.jp/med/kansai/domestic/mystery/

クラブツーリズム「ミステリーツアー特集」
http://www.club-t.com/special/japan/mystery/index12.htm?rd=area