外国人客を増やすことの是非(2)

2030年には今より1.4倍の外客が必要

前記事で、京都市においては定住人口1人減少分を埋め合わせるために、外国人客12人が必要という話をしました。これに基くと、2030年までに減少する約11万人をカバーするために、およそ132万人/年の外国人客が必要になります。

2015年の外国人延宿泊客が316万人なので、15年後に1.4倍程度に増やせば良いというイメージです。(ただし、一人あたりの滞在期間や消費額に変化が無いという前提、日帰り客の存在は無視していることに注意)

2020年に4000万人、2030年に6000万人という極めて高い国の目標に比べれば、かなり控えめな水準といえるでしょう。

 

外客のリスクをどう評価するか

316万人+132万人=448万人という値を目安に、近年の傾向からざっくり予測してみると、下図のような感じになります。

日本人客は人口減少&団塊の体力低下とともに自然減するだけでなく、外国人客の増加や観光地の混雑回避という理由でも減少することは間違いないでしょう。

外国人は、インフルエンザ(2009年)や震災(2011年)はもちろん、金融危機やテロの影響で激減するリスクをはらんでいます。過去の実績から考えると、3割程度の減少を見込んでおく必要があり、それを外客下限値としてみました。下図の予想では、リスク込みで考えても旅行者は微増傾向ということになりました。

ただし、あんまり外国人比率が高くなると、同じ3割減でも絶対数が大きくなるので、何かあったときに失業者が大量発生する可能性はあります。直感的には、外国人を6割まで増やして、激減したら4割って感じくらいが、落とし所かなーと思います。

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ドライビングフォースとしての義務

まぁ、外国人が増えることによる日本人の減少度合いはガバガバですし、宿泊価格の高騰による影響も考慮していないので、どこかでピークアウトする水準が来るまでは増やすことになるような気もします。

というのも、京都が京都の都合で低い目標を達成して満足しているわけにはいかないからです。いくら京都の宿泊容量に限界があるとはいえ、訪日外国人の多くは「京都的ななにか」を目当てに日本へやってくるわけで、国の高い目標を達成するためには京都が他地域を牽引していかなければならないでしょう。