観光客の地方分散は進んでいるのか?

縁あって,来週とある学会で発表する機会をいただくことができました.それで,いろいろと分析を進める中で,ふと疑問に思ったことが. 旅行先の格差って広がってるの?縮まってるの? 実感としては,訪日客全体が増えている割には,京都への観光客は伸び悩…

2016年は京都観光のターニングポイント

本日、平成28年の京都観光総合調査の結果が発表されました。 http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20170621000186 入込客が減っても宿泊客は増えていて、消費額も増えたということで、「量」から「質」へが体現されたということになります。 これ…

「分かりやすさ」と「正しさ」のジレンマ

今の仕事に変わって約1年、ようやくR(統計ソフト)を使った作業を進められる段階にまでたどり着きました。予算編成やら情報発信やらは、それはそれで楽しいんですけど、久しぶりに本業に戻ってきた感じがします。来月には、小さい学会で発表する機会も貰…

ジャパンブランド調査の分析

電通が2017年版のジャパンブランド調査の結果を発表しました。世界20カ国の日本に対するブランド意識についての定点調査で、今年で7年目を迎えます。 https://dentsu-ho.com/articles/5143 オープンデータになっておらず不親切で、十分な分析ができませんが…

マーケティングに対する地域のリテラシー

観光庁は、"世界水準"のDMOを100法人作る、と謳っています。でも、"世界水準"の定義はしていません。 まぁ、定義しなくても、米国のオーランドやスイスのツェルマットみたいな有名な地域を目指しなさいってことなんだとは思います。しかし残念ながら、そうい…

「おんな城主 直虎」に学ぶDMO経営

みなさん、今年の大河ドラマ「おんな城主 直虎」見てますか?去年の「真田丸」は三谷幸喜演出で注目が集まったことに加えて、女性主人公モノはなかなかヒットしないというジンクスがあるので、あんまり期待してない方が多いんじゃないかと思います。 ただ、…

観光消費の経済波及効果を考えるにあたって

最近少しずつ、これまでの仕事で得た知見や発想を外部の方にお話しさせていただくことが増えてきました。はやく印税で生計を立てたいです() 観光業界最大の関心事 昨日、旅行者による観光消費がどれくらい地域経済に貢献しているのかについて議論する機会…

観光立国のまぼろし

ご無沙汰しております、久しぶりの記事更新です。 マーケティングが本業なんですが、諸事情により予算編成の仕事に追われてしまい、記事のネタを考える余裕がありませんでした。DMOは、CMOを雇う前に、会計(Accounting)ができる人を雇うべきじゃないかと思…

DMOはどのように稼ぐのか?

JTB総研が国内のDMO候補法人の収益構造についての調査記事を発表されました。 「日本版DMOはどのように稼ぐのか?~自律的・継続的な運営に向けて~」(2017/2/13) これによると、観光協会などのDMO候補法人は、主な事業の内容によって大きく5つに分けられ…

京都観光関連サイト(国内向け)を比較してみた

WEBサイトの分析はマーケティングの基本中の基本です。とくに、京都観光に関するサイトはうんざりするほど多いので、競合分析が非常に重要となります。 そこで今回は、関連するサイトを用途別に整理してみたいと思います。最近は、SEO(なるべく検索結果で上…

DMOのマーケティングに対する誤解

ここ最近DMO関連のセミナーとか会合に出る機会が何度かあって、そのたびに思うこと。 DMOのマーケティングは旅行者の分析が前提になりがち どんな旅行者を呼びたいかターゲティングをしましょうっていうのは、それはそれでごもっともなんですが、最終的には…

福岡県民の国内旅行先を月別に調べてみた

今回は、京都よりも西側のマーケット代表格となる福岡県民の2016年月別市区町村別の旅行先について、観光予報プラットフォームで集計してみました。慣れてきたのはいいけど、徐々にデータ量が増えてきて処理が重くなってきました。 国内旅行先推移.xlsm 別府…

石川県民の国内旅行先を月別に調べてみた

今回は石川県民の国内旅行先を観光予報プラットフォームで集計してみましたー。「関東への旅行」と「関西への旅行」が競合する地域という意味でのチョイスです。愛知県でも良かったんですが、愛知県はビジネス需要が強そうなので後回しにします。 前回は集計…

東京都民の国内旅行先を月別に調べてみた

旅行者数の分析はどうしても自分たちの町にばかり注目してしまいがちですが、当然旅行者は他の地域にも旅行しているので、市場シェアをどのくらい取れているのかを把握することが重要です。 これまでの統計では都道府県単位でしか把握することができなかった…

いま必要な観光消費のデータとは

さいきん投稿サボりすぎなので、短いですが少しだけ思いついたことを。 観光に関するデータは捉えにくいとはいいつつも、ここ最近で統計データが随分整備されました。国が公表しているものをざっと挙げただけでも、これくらいはあります。 1.出入国管理統…

京都の客室稼働率が高くなったことで、日帰り客は増えているのか?

2016年の訪日外国人数は2400万人(前年比約22%増)を超えました。2020年には4000万人を目指すことになっています。順調に増えているようですが、これが各地域の旅行に与える影響は様々で、国全体と同じように成長しているとは限りません。 とくに京都の場合…

京都市内観光地の訪問特徴をコレスポンデンス分析で可視化してみた

これまでの記事アクセス数を見ると、データに関する記事のほうが受けがいいらしいことが分かってきました。今回は、公表データから比較的簡単にできるコレスポンデンス分析を使って、旅行者の属性別に市内訪問地の傾向を可視化してみたいと思います。 データ…

宿泊予約市場の最適化問題~稼働率100%に向けて~

去年の京都観光は、一時期の勢いは無くなったとはいえ、11月の主要ホテル稼働率が93.1%を記録し(京都文化交流コンベンションビューロー調べ)、依然として需給は逼迫する一年となりました。 この稼働率、90%を超えれば満室(ほぼ予約不可能な状態)と言われ…

目隠しマーケティングという需要開拓

セグメンテーション(顧客分類)やポジショニング(競合との差別化)は、マーケティングの基本ですが、これらはもはや古典と化しています。いま最も注目されているのは、インフルエンサーをいかに食いつかせるか、でしょう。 インフルエンサーとは、直訳する…

京都観光の実力(ネットプロモータースコア)

DMOのアイデンティティのひとつは目標管理なので、成果指標の設定が義務付けられています。観光地としての実力を測るためにも、これをどのように設定するかが重要です。基本的には、観光庁が国の政策目標として採用している観光客数や消費額に準じることにな…

旅で幸せを感じられる人は、何が違うのか

ブッキングドットコム社が、旅行の前後における幸福度についての大規模調査結果を発表しました。 平均的に最も幸せを感じるタイミングは「旅行初日」他の選択肢に比べて広い概念なので、必然的に回答率が上がっているような気がするので、「目的地に着いた瞬…

【HTML不要】DMOみたいな中小企業でもポータルサイトを持てる方法【基本無料】

DMOはだいたい地域の観光協会が担うことが多く、そのほとんどは従業員数10名程度の中小零細団体です。そういった組織ではIT関係に明るい職員を雇う余裕はなく、地元のイケてないリース・メンテナンス会社の言いなりになって、いまどき中高生でもできるような…

Wantedlyに学ぶDMOの本質的な課題

いま、最もアツい就職支援サービス「Wantedly」のCEO仲(なか)さんのお話を聞いたので、そこから思ったこと。 Wantedlyなビジネスモデル Wantedlyが従来のサービスと異なるのは、提供している価値の源泉が口コミによって成り立っているところです(本人談)…

人気の紅葉情報サイトTOP10/今年の京都の紅葉まとめ

みなさん、今年は紅葉狩りに出かけられましたでしょうか。去年に比べて今年の紅葉は美しかったようですが、例年より少し見頃の訪れが早かったようです。京都観光の再繁忙期である11月は宿を確保するだけでも大変なので、紅葉のタイミングに合わせる余裕なん…

北陸新幹線の行方

連日、北陸新幹線のルート決定が新聞記事を賑わせていますね。あんまり斬新なアイディアは浮かばないのですが、多少なりとも触れざるを得ないので、備忘録がてら書いておこうと思います。 新幹線の整備効果 新幹線のような公共性の高い事業といえども、基本…

相手が自分の思い通りに動くことと動かないことの間隙にこそ、惚れるということの味がある。

僕が好きな小説家は「森 博嗣(代表作:全てがFになる THE PERFECT INSIDER)」と、「森見 登美彦(代表作:夜は短し歩けよ乙女)」です。 その森見登美彦の代表作が、この度、劇場版アニメになることが決まったそうです。すでに実写映画も製作されている本…

1億総ガイド社会の将来(旅行業法改正の中間とりまとめ)

観光庁で進められていた旅行業法改革の中間取りまとめが発表されました。 トラベルボイス「観光庁、新たな旅行業法制で中間まとめ、ランドオペレーター新規制や着地型旅行の販売をホテルでも」 記事のタイトルにあるとおりですが、先日図に書いて説明したラ…

競争に勝ち残るDMOとは/旅行業界の垂直統合

前々回の記事で、DMOの競争について書きました。今日は、旅行業界の構造変化の解説もあわせて、競争に勝ち残ったDMOの最終的な役割について書いてみました。 発地側主導の業界構造 旅行業界は「着地側」と「発地側」に分けて考えることが一般的です。そし…

旅行先ランキングの意味

2017年注目の旅行先 National Geographic Travelerによる2017年注目の旅行先が発表されてました。なにを基準に順位をつけるかは難しく、記事を読む側はその基準をよく確かめる必要があります。本当の意味で、その旅行先の実力を表しているランキングとは、ど…

同じ地域に複数のDMOは必要か?

京都にDMCを名乗る組織が登場 近畿日本ツーリストが登録商標として持っている「DMC Japan」が、12月12日から京都で立ち上がるみたいです。立ち上がるといっても、新たに法人ができるわけでも、事業内容が変わるわけでもなく、これまで旅行会社としてやってき…